「企業のコンプライアンスチェックが必要な理由は?」
「中小企業向けのコンプライアンスチェックリストが欲しい」
「コンプライアンスチェックはどんな方法で進めるのだろう?」
コンプライアンスとは「社会的なルールや法令を守ること」ですが、定期的なチェックこそ、企業のコンプライアンスを徹底する上での最重要事項です。
特に中小企業は、コンプライアンス機能を新設し、チェック体制をこれから整備しなければならないケースが多いでしょう。また、新しい取引先企業のコンプライアンスが徹底しているか調査しなければならないケースもあります。
この記事では、企業にとってそもそもコンプライアンスチェックがなぜ必要なのか、一般的なチェック項目、チェック方法について、詳しく解説します。「自社でコンプライアンス徹底を進めたい」「取引先のコンプライアンスをチェックしたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
企業のコンプライアンスチェックが必要な理由
企業のコンプライアンスチェックは、自社の内部監査や従業員のコンプライアンスの理解を深めるためにとても重要です。また、取引前や企業合併・買収前などの他社に対するコンプライアンスチェックは、自社のリスク軽減にも有効です。
近年、企業の規模に関わらず、コンプライアンスチェックが重要視されていますが、その理由は以下の通りです。
理由①社会的責任を果たし信用を得る
法令遵守を意味するコンプライアンスを徹底することは、企業が社会的責任(CSR)を果たし、信用を獲得するためにとても重要です。
コンプライアンスへの意識が高まるようになったのは、時代の流れも大きく影響しています。
2002年に発覚した「牛肉産地偽装事件」から「食の安全」に関する不祥事が相次ぎました。消費者の日常生活や生存にも影響を及ぼす事例であることから、世の中の高い関心を集め、景品表示法が強化、食品表示法が施行されました。
同じ頃、財務の信頼性を確保するために、企業と経営者の義務や責任についても厳しい規制が盛り込まれた日本版SOX法(J-SOX)が制定されています。
このように、それまで曖昧になりがちだった事実を誤認させる行為や企業のウソの横行に歯止めをかけるため、徐々に規則が整備されるようになったのです。
また2007年には、法務省により「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が定められ、2011年からは全ての都道府県で「暴力団排除条例」が施行されました。さらに2018年には、警察庁の「暴力団情報データベース」に金融機関が接続できる取り組みも始められ、東京証券取引所の上場審査でも、反社会的勢力排除に向けた上場制度の整備が進められています。
つまり、反社会的勢力との取引には、より一層厳しい目が向けられるようになり、罰則や行政指導の対象となるようになったのです。
このように、消費者がコンプライアンスに対する意識を向けるようになったことに加え、条例や法整備も進み、企業の信用獲得や存続のためにも、コンプライアンスチェックがとても重要視されるようになったのです。
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理由②円滑な取引を進めることができる
企業がコンプライアンスを徹底せずに事業を行うと、消費者だけでなく、取引先からの信頼も失います。
自社の利益だけでなく、取引先の利益、社会に与える影響を考慮して事業を進め、コンプライアンスを徹底している企業こそ、顧客や取引先の離脱を防止し、円滑な取引を進めることができます。
コンプライアンスをより徹底させることで、他社との差別化にもなり、企業に競争力をつけることにもつながります。近年では、そういった企業に対する投資も活発化しています。
理由③従業員のモチベーションがアップする
コンプライアンスの徹底は、従業員にとって健全な社内環境を保つことでもあり、従業員のモチベーションアップにもつながります。
近年、働き方改革が進んでいるように、従業員が働きやすい環境整備はどの企業にも求められています。しかし、サービス残業や、社会的信頼を失う行為の強要など、従業員の心身の安全を守ることができない企業も未だに存在しているのが現実です。
このようなコンプライアンスを徹底できていない、徹底しようとしない企業では、従業員のモチベーションが下がり、離職率も高まる可能性が大きいでしょう。
また、コンプライアンス違反の中には、従業員個人の不祥事も多く、従業員一人一人にコンプライアンスに対する深い理解も求められています。
コンプライアンスの徹底は、社外の信用を獲得するだけでなく、従業員が安心してモチベーションを維持しながら働くためにも非常に重要なのです。
企業のコンプライアンスチェックリスト
では、実際にどのような項目で企業のコンプライアンスチェックを行ったら良いのでしょうか。
企業規模や事業内容によっても異なりますが、チェックすべき項目は経営から風評被害対策まで広範囲に渡ります。
ここでは、一般的なコンプライアンスチェック項目を紹介していきます。以下を参考に具体的な項目に落とし込み、業務内容や従業員の役職に合わせたチェックリストを作成していきましょう。
会社の基本ルール
会社の基本ルールは、株主や役員間での内部紛争の発生によって、会社の混乱を招かないかどうかの項目です。
- 会社の定款を適切に管理している
- 株主名簿を作成している
- 株主総会、取締役会を開催している
- 株主総会、取締役会の議事録を作成している
- 会計監査を行なっている
労働環境
労働環境は、社内環境やハラスメントなどに関する項目です。
2018年7月に「 働き方改革関連法 」が公布され、長時間の時間外労働による労働基準法違反、パワハラ・セクハラなどのハラスメント、非正規社員に対する差別的な扱いなど、労務リスクの重要性は増しています。
- 会社の就業規則があり、従業員に周知している
- 従業員の労働時間を、タイムカードや出勤簿などで管理している
- 残業手当が支払われており、「36協定」に違反していない
- 産休や育休の制度を整えている
- 更新される「働き方改革関連法」関連の情報をキャッチアップしている
- 不当解雇を行っていない(どういった解雇が不当に当たるか知っている)
- 従業員に対し不当・不正な要求があった場合やハラスメント行為があった際、相談しやすい体制を整えている
取引先との関係
取引先との関係性における紛争や、資金繰りや売上金の回収によるトラブルを防ぐための項目です。
- 取引先との間で、契約書を作成している
- 契約条件変更する際は、契約書の内容も変更している
- 受発注の内容を帳簿等で適切に管理している
- 取引先から支払条件や代金について、お互いの合意のもと決定している
- 取引先から不要な商品も一緒に買うように求められることがない
- 取引先からの入金が予定日通りに行われているか確認している
- 新規取引の際は、取引先企業の経営状況等も確認している
消費者との関係
消費者との関係は、自社商品に関するトラブルを回避するための項目です。特定商取引法や正しい製品の表示方法などに対する理解が必要です。
- 自社の商品広告は、適切な表現をしており、大げさなところはない
- 「クーリング・オフ」制度を認識しており、要望があれば対応している
- 自社商品の取扱説明書には、安全性に関する注意を記載している
- 消費者契約法の内容を熟知している
情報セキュリティ
顧客情報や新製品情報、商品の製造方法など、社内の重要な情報を紛失・漏えいすることを防ぐための情報セキュリティリスクに関する項目です。
- コンピュータウィルス対策を行っている
- パソコンソフトは、使用許諾契約の規定に従ったパソコン台数にインストールしている
- 個人情報ファイルは、第三者に見られたり、紛失することのないよう適切に管理している
- 許可を得ず、USB等を用いて業務上の情報をパソコンから持ち出していない
- 従業員と秘密保持誓約書を交わしている
- 取引先や業務委託先との契約において、 秘密保持契約を締結している
風評被害対策
ネット社会の現代に欠かせない風評被害を防ぐための項目です。事実ではない風評も多いですが、これを放置すると結果的に大きなダメージにもなり得ます。風評被害がない状態であっても対策をとっていくことは必要です。
- 従業員にレピュテーションリスクについての教育を行っている
- 自社、取引先ともに、反社会的勢力との関係の噂がない
- ネット上で炎上した際の危機管理体制を整えている
- ネット上での自社のリスク情報の監視体制を整えている
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企業のコンプライアンスをチェックする3つの方法
企業のコンプライアンスをチェックを自社で行う場合、社内でチェックする部門や機能を作る必要があります。
比較的規模の大きい企業では、コンプライアンスを管理するCCO(Chief Compliance Officer)という役職を設けている場合もありますが、多くの場合は社内の総務部門や法務担当者が主導して整備する場合が多いです。
具体的なチェック方法は、以下の通りです。
方法①マニュアル、チェックシートの作成
従業員の行動基準や基本方針をまとめたコンプライアンスマニュアルや、その到達度を確認するチェックシートを作成し、定期的な内部監査により、全従業員がコンプライアンスの基準に沿って行動ができているか確認しましょう。
コンプライアンスマニュアルは、従業員が日々の業務でどんなことに気を付けたら良いのか、どんな行動がルール違反になるのかを文章にして、従業員に示すことが重要です。
チェックシートは、企業の規模や事業内容に合わせて確認すべき項目をリストアップし、企業全体としての行動を振り返るチェックシートと、従業員個人の行動を振り返るチェックシートを用意します。
コンプライアンスマニュアルとチェックシートを利用し、「なぜコンプライアンスが重要なのか」「コンプライアンス違反すると、どのような罰則があるのか」という従業員教育とともに、定期的な確認を徹底していきましょう。
これらは法令等のアップデートに合わせて刷新する必要があるため、担当者は従業員の業務フローをしっかり理解することも非常に大切です。内容を刷新した場合は、資料を作成したり、研修を実施したりして、社内全体への周知を行いましょう。
これを継続的に行うことで、過去のデータを含めて分析でき、自社の課題を抽出して必要な対策をとることも可能になります。
方法②インターネットで検索する
現代におけるコンプライアンスの徹底においては、企業イメージを維持することも重要な要素であるため「風評被害に遭っていないか」という観点のチェックも必要です。
自社や取引先企業の風評は、インターネット検索でチェックすることができます。企業名や経営者を検索した際、ネガティブワードと共に検索結果が出ないかを確認しましょう。
例えば「○○株式会社 暴力団」「○○株式会社 しつこい」などと検索されていたら、社会的な信用を獲得しきれていないのかもしれません。
こういった噂レベルの風評でも、ネット社会の現代では企業に大きなダメージを与えることが多くあります。そのため、風評によるリスクは早いうちに徹底的に洗い出すことが重要です。
しかし、リスクになり得るネット上の風評を人的に監視することはほぼ不可能です。自動チェックツールを利用することで、人的コストをかけずに24時間365日ネット上の監視体制を整えることができます。
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方法③相談窓口を設ける
コンプライアンスに関する相談窓口を設けて、小さなことでも従業員が相談できるような環境づくりを行うことも効果的です。
社内の違法行為の発生や深刻化リスクを防ぐには、従業員に通報を促し、早い段階で把握することです。
しかし、相談内容によっては「仕事がしづらくなってしまう」「相談を知られたら会社にいられない」「どうせ改善されないだろう」と感じてしまい、相談窓口が有効に利用されないこともあるでしょう。これでは相談窓口として機能しなくなってしまいます。
「相談窓口の担当者には中立的な立場の従業員や外部専門家を配置する」「通報によって、その従業員が不利益ならないようにすることを明示する」などの方法で、相談しやすい環境を整え、機能する仕組みを構築することが重要です。
【まとめ】独自のコンプライアンスチェックリストで企業価値アップ
企業がコンプライアンスマニュアルを作成し、チェックリストで定期的に確認を行うことは、社会的責任を果たし、社内外の信用を得るためにとても有効です。
コンプライアンスチェックリストの内容は、企業の規模や業務内容に合わせて独自に作成し、時代の流れや法令の追加によって、随時アップデートしていくことがとても重要で、これが結果的に企業価値をアップさせていくことにもつながります。
さらにネット社会の現代は、根も葉もない噂レベルの風評でも、きっちり対応していかないと後に大きなダメージとなり得ることが多くあるため、コンプライアンス徹底にはネット上の風評対策にも目を向けなければならないでしょう。
投稿者プロフィール
- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
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