風評被害対策

M&Aと風評被害の関係性|悪評があったらM&Aはできない?!

M&Aと風評被害のアイキャッチ

「M&Aを行う中で、自社に対する悪い評判の影響が心配」
「自社のサービスに対する悪い口コミが多いが、M&Aを進めたい」
「風評被害がM&Aに影響があるなら、どう対処したらいいのか知りたい」

M&Aを行う上で、風評被害は無関係ではありません。ネットなどの悪評に振り回されて、本質的な企業価値の追求を怠っては本末転倒ですが、自社にどんな風評があるのかチェックするのはM&Aを行う上ではとても重要です。

この記事では、M&Aと風評被害の関係性、その解決方法や対策について、詳しくご紹介します。「風評被害を受けているがM&Aを進めたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

M&Aを行う上で風評被害は関係あるのか

パソコンのキーボードを叩く手

風評被害には「ネット上のネガティブ情報」「マスコミの偏向報道」「誤解を招く統計データ」「人の噂」といった種類がありますが、M&Aを行う上でこれらの悪評の影響は、小さくありません

企業にとってのM&Aの目的は、

  • 買い手→ 事業拡大、節税対策、弱点強化、技術向上
  • 売り手→ 事業拡大、従業員の雇用維持(後継者問題解決)、売却益の獲得

というのが主で、最終的にM&Aが行われるかどうかは、買い手と売り手の合意次第です。

風評被害に遭っている企業とM&Aを行った結果、買い手に損失が見込まれ、投資対効果が得られないと判断されれば、合意には至りません。

現代は「ネット上のネガティブ情報」が蔓延しているため、「悪評が一つでもあればM&Aに影響する」とは言えませんが、その風評の内容次第で適切な対応が求められるのは確かです。

つまり、M&Aが合意に至るかの風評被害の基準は明確にはありませんが、風評被害によるリスクは徹底的に洗い出し、許容できる範囲内に抑えることが必要です。

風評の内容によるM&Aとの関係性

風評の内容との関係のイメージ画像

風評被害がM&Aに与える影響の大きさは、以下のような風評の内容によって異なります。

  • 悪い風評がデマのケース
  • 悪い風評が事実のケース
  • 悪い風評は事実だが既に解決しているケース
  • 訴訟が多いケース

それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。

悪い風評がデマのケース

悪い風評が根も葉もないデマであるケースは、M&Aへの影響は小さいと考えられます。

問われるのは本質的な企業価値で、特に買い手にとってその風評が大きな痛手とならなければ、問題がありません。

例えば「スタッフの対応が悪かった」という印象を持った顧客が、その不満を増幅させ、大げさな悪評としてSNSなどに書き込んでいるケースや、類似した会社名が起こした事件によって、事実でない悪評を広められるといったケースもあります。

こういった事実ではない悪評を判断基準とするかどうかは買い手次第ですが、多くの場合は「M&Aには影響がない」と判断する事例が多いです。

一方で「事実と異なる風評ならば、できるだけ悪評はなくしておきたい」という場合は、

  • 法的手続きをとる
  • ネット上の悪評であれば、削除依頼をする

といった対応をとることもあります。

悪い風評が事実のケース

悪い風評が事実のケースは、M&Aへの影響は大きいと考えられます。その事実の内容によりますが、適切な対応が必要です。

例えば「コールセンタースタッフの営業がしつこい」「サービス残業が常態化していて退職した」「実は経営者に重大な犯罪歴があるらしい」「広告に薬機法違反がある」「取引先が反社会勢力と関係があるらしい」など内容は様々ですが、それらが事実であっても「改善できる」ケースと「改善できない」ケースがあります。

改善できる
→スタッフの対応、労働環境 など

× 改善できない
→過去の法律違反、取引先の問題 など

「改善できるもの」であればすぐに対応すべきですが、「改善できない」場合は誠意を持って事実を認識し、M&Aにおける条件を譲歩するなど、相手側の判断を仰ぐしかありません。

また、売り手にこういった風評がある場合は、「買い手と組むことで改善されるからこそM&Aをしたい」というコミュニケーションをとることが必要です。

悪い風評は事実だが既に解決しているケース

過去の悪い風評があるが既に解決しているケースは、M&Aへの影響は小さいと考えられます。

重要視されるのは現在の姿とM&Aを行った後のメリットであり、もし過去に悪評が多かったとしても、改善していれば自然に悪評は少なくなっていくはずです。

過去の悪評が現在の事業にも影響している場合や、M&A後に相手に不利になり得る場合は、

  • ネット上の悪評は削除依頼をする
  • M&Aにおける条件を譲歩したり、保証をつけたりする

などの対応をして、交渉することになるでしょう。

訴訟が多いケース

訴訟が多いケースは、M&Aへの影響が大きいと考えられます。特に売り手に訴訟が多い場合は、買い手の損失にもつながりかねないので、適切な対応が必要です。

「提訴される」ということは「その企業を問題視している人が存在する」ということです。つまりM&A後の悪評につながる可能性があり、提訴される原因が解決しない限り、同じ事態が繰り返されることも考えられます。また、訴訟費用がどのくらいキャッシュフローに影響するかも懸念点となるでしょう。

M&Aを行う上での風評被害解決方法

風評被害解決方法のイメージ画像

次に、風評被害に遭い企業の評判を損なってしまった企業が「評判を改善する」方法を紹介します。

評判を回復するには、

  • ネット上の悪評を削除する
  • ブランド向上に努める
  • 個人を特定し、法的措置をとる

といった方法があり、具体的には以下のように進めていくのが現実的でしょう。

自分で対応する

悪評の削除依頼を自分たちで行う場合は、

  • 書き込んだ本人に削除依頼をする
  • 掲載元の管理会社に削除依頼をする

という方法があり、「なぜその書き込みが、法律上名誉棄損に当たるのか」を依頼文に明記して削除を依頼します。

しかし、悪評を書いた本人に削除を依頼した場合、応じてもらえればすぐに悪評は消えますが、なかなか応じてもらえない場合やトラブルが発生することも考えられます。

掲載元の管理会社に削除依頼をした場合も、媒体ごとに削除の対象基準が設けられていることが多く、削除してもらえる可能性が高くないのが現状です。

悪評の内容が事実であれば真摯に受け止め、社内でブランド向上に努めることも必要です。

専門業者に相談する

悪評や誹謗中傷を解決してくれる専門業者に相談するという方法もあります。「対応する時間がない」「法的措置はとりたくない」という方におすすめです。

  • ネガティブな記事の検索順位を下げる(逆SEO)
  • 検索時の関連キーワードがネガティブな場合にそれらを削除する
  • 口コミサイトやGoogleマップの悪評を削除する

など、専門業者ならではのテクニカルで迅速な対応が可能です。

逆SEO対策とは

信憑性の高いサイトを別に作成することで、悪評が書かれたネガティブサイトの検索順位を下げ、大勢の人の目につかないようにするための対策。
逆SEOについての詳細記事はコチラ▶︎

専門業者に依頼することで既に起きている風評被害を解決できるだけでなく、同時にその後の風評被害対策も講じることもできます

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弁護士に相談する

行き過ぎた表現やデマを流し続けるなど風評が悪質で法的措置を取りたい場合、悪評を書いた人を特定したい場合は、弁護士に相談する方法があります。

その他にも「悪評を書いた本人や掲載元の管理者に削除依頼しても取り合ってもらえないが、裁判に発展する前に早めに対処したい」という方も、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士の相談自体にも費用がかかることがほとんどですが、風評被害が大きい場合や対策に行き詰まっている場合は、弁護士に相談しましょう。

誹謗中傷した人を特定する方法についての記事はコチラ▶︎

M&Aを行う上での風評被害対策

風評被害対策のイメージ画像

M&Aを行う上で影響のある風評被害を「未然に防ぐ」「被害を最小化」するための対策は、以下の通りです。

  • ネット上の監視体制の整備
  • ソーシャルメディアポリシーやガイドラインの作成
  • 従業員教育の徹底

それぞれを詳しく解説します。

ネット上の監視体制の整備

ネット上の風評被害は、リスクが広がる前に早めに検知することが重要です。

例えば、従業員によるSNSへの不適切投稿、内部情報の流出、顧客のクレーム、SNSの企業アカウントの誤爆などは、刻一刻と状況が変化し、WebやSNS上で数時間後には拡散され、不確かな情報であってもブランドイメージが一気に下がってしまう可能性があります。

それを防ぐためには、風評被害につながるWeb上の投稿を常に監視、リスクのある投稿を素早く検知し、ただちに対応することです。それが結果的に良い評判に転換できるケースもあり、被害の最小化にもつながります。

リスクのある投稿を人的に監視することはほぼ不可能です。自動チェックツールを利用することで、コストをかけずに24時間365日ネット上の監視体制を整えることができます。

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ソーシャルメディアポリシーやガイドラインの作成

風評被害を未然に防ぐためには、ソーシャルメディアポリシーやガイドラインの作成が必要です。

ソーシャルメディアポリシーやガイドラインは、情報発信に対するルールや心構え、目的、姿勢、問題が起きた場合の対応手順などの基本指針ですが、これを従業員に浸透させることで、企業として世の中に発信している自覚を持ち、個人的な不用意な発言を防ぐことができます。

企業のSNS運用の失敗事例は、以下の通りです。

飲食店が店舗名のハッシュタグをつけて、その飲食店にまつわる良い話をTwitterでつぶやいてもらうキャンペーンを実施。
あたたかい話が集まりイメージアップを期待していたが、実際には商品の安全性や異物混入になど、ネガティブな投稿が大量に寄せられた。

Twitterの企業アカウントで、個人アーティストに対し「ぶさいく」というコメントを投稿。
Twitterユーザーから非難を浴び、炎上した。

サプリメントを販売する企業が「乾燥肌を解決する」と明示した商品紹介をInstagramに投稿した。
「〇〇を解決する」という表記は、医薬品以外の販売では薬機法違反に該当。

TwitterやInstagram、LINEなどのソーシャルメディア運用は集客効果が見込める一方で、結果的に悪評を集める事態になってしまったり、企業としての発信である自覚が欠けていたり、広告が法律違反になっていたりなど、失敗例も数多く見られます

これらは一気に拡散され炎上してしまうため、名誉棄損や誹謗中傷などの風評被害で経営に大きなダメージを与える可能性もあります

だからこそ、情報発信の基本方針であるソーシャルメディアポリシーやガイドラインを作成し、ネット炎上などによる風評被害を未然に防ぐ対策を講じることは非常に重要です。

企業のSNS運用ルールに関する記事はコチラ▶︎

従業員教育の徹底

ソーシャルメディアポリシーやガイドラインを作成したら、アルバイト、新入社員、管理職なども含め、従業員それぞれの立場に合った方法で、ルールを徹底させる教育を定期的に行うことが必要です。

また、従業員個人のSNS利用が不適切だと批判されるケースも起きています。
例えば、

  • 他者への過激な批判
  • 泥酔や歩きたばこなどの公共の場での迷惑行為
  • 同僚との社内の写真に写り込んでいた社外秘情報の流出

などが従業員のプライベートのSNSアカウントで投稿され、過去の投稿やプロフィールから勤務先を特定、企業が非難を受けてしまうこともあります。

SNSの利用には、企業としてだけでなく、個人としての振る舞いも注意が必要です。「従業員としていかに行動すべきか」「SNSの使い方はどのようにすべきか」など、従業員が炎上につながるような行動をとらないよう啓蒙し続けることが、風評被害を未然に防ぐことにつながります。

M&Aを進めるフローでの風評にも注意!

スーツ姿の男性

M&Aの手続きを進めるフローでの情報漏洩にも注意が必要です。

「M&Aを行う」という情報が外に漏れると、「あの会社は事業を縮小するのか」「資金繰りが危ないのか」など、事実ではない噂が広まる可能性もあり、最悪の場合、取引先との取引停止が発生してしまう可能性もあります。

また、M&Aの検討が売り手側の従業員に漏れてしまった場合、会社に対する不信感が生じてしまうこともあります。そんな不信感から従業員の離職が続くと、買い手にとってはリスクになり、M&Aが失敗に終わってしまう可能性もあるので、情報漏洩には細心の注意が必要です。

【まとめ】M&Aと風評被害は大いに関係あり

この記事では、M&Aと風評被害の関係性、その解決方法や対策について解説しました。

M&Aが行われるかどうかは、買い手と売り手の合意次第で風評被害の程度の基準などはありません。しかし、M&Aと風評被害は大いに関係があり、内容に合わせた対応が求められます

M&Aで重要なのは、何より企業の本質的な価値を高め、買い手も売り手もwin-winになるよう交渉を進めることではありますが、ネット社会の現代は風評被害対策を軽視することはできません

既に風評被害に遭ってしまっている場合は、解決をプロに任せるという手段もあります。風評被害などでお困りのことがありましたら、お気軽に弊社にご相談ください。

投稿者プロフィール

デジタルリスク施策部
デジタルリスク施策部
誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
 

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