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信用審査(与信調査)の流れ・気を付けるポイント|上場審査との関係は?

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信用審査(与信調査)とは、文字通り「相手が信用できる相手かどうか」調査することです。金融機関や企業が新しい取引を始める際に行われることが一般的で、支払い能力などの経営状況のほか、人的・物的調査など様々な側面から調査が進みます。

企業が上場(IPO)を考えている場合も、「どんな信用審査(与信調査)が行われる?」「風評被害に遭ったことがあるけど関係ある?」「落ちる理由は何?」という不安が生じるかもしれません。

この記事では、信用審査(与信調査)がどのようなものか、流れや気をつけるポイントについて、詳しく解説していきます。信用審査(与信調査)への対策を講じたいと考えている方、上場に際する審査が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

上場時の信用審査(与信調査)とは

信用審査とはのイメージ画像

信用審査(与信調査)とは、特定の相手が取引において信用できる状況か調査することです。

信用審査(与信調査)は、以下のようなケースで行われます。

  • 金融機関
    →個人や企業に融資を行う場合、借り手や保証人などに支払能力や担保価値があるかを調査する
  • 企業
    →新規で取引を始める場合に、相手の信用や売掛許容限度などを調査する

どのケースにしても「売掛債権が回収できない」「キャッシュフローが悪化し、業界内での印象が悪くなる」「連鎖倒産を起こしてしまう」といったリスクを減らすために行われます。

また、企業が上場する場合も信用審査(与信調査)に値する上場審査が行われています

上場時の信用審査(与信調査)の流れ

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まず、信用審査(与信調査)の一般的な流れを解説します。

「支払をするための十分な売上があるか」「会社や経営者は信用するに値するか」「資産状況や財務の状態は健全か」などを把握するために、様々な側面から調査が進みますが、調査方法は大きく分けて以下の4種類です。

  • 社内調査(内部調査)
  • 直接調査
  • 外部調査
  • 第三者による依頼調査

それぞれを詳しく解説します。

①社内調査(内部調査)

社内調査(内部調査)は、自社で保有する情報をもとに調査を行います。

過去に取引をしたことがある相手であれば、社内に蓄積されている取引履歴などをチェックしたり、当時の担当者にヒアリングしたりすることで信用情報を収集できます。

社内調査は、手間や費用かからないメリットがありますが、主観的で限定的な情報しか集められないデメリットもあります。

②直接調査

直接調査は、取引先への訪問・電話・メール・FAXによる調査です。

具体的には、直接コミュニケーションをとったり、工場などの稼働状況、在庫や設備状況などを確認したりします。

直接調査は、会社の雰囲気や仕事の様子、社員の対応など、資料やインターネットからの情報では把握しにくい現場の様子を肌感覚で確認できる一方で、相手によっては疑いの目で調査されているように感じたり、相手との力関係や経営者の考え方で混乱をまねく場合もあるので、注意が必要です。

③外部調査

外部調査は、基本的に「官公庁調査」「検索調査」「側面調査」という方法があります。

官公庁調査

官公庁調査は、官公庁が公開している情報を利用して調査を行います。

法務局では「商業登記簿」と「不動産登記簿」を閲覧できます。また業種・業界によっては監督官庁が企業情報の提出を義務化し一般に公開しているため、これも閲覧することができます。

これらのデータをもとに、過去の不祥事を隠蔽している可能性、支払いの滞納の経緯、資本金の増減による経営状況などを調査します。

検索調査

検索調査は、インターネットのWEBサイトや様々なデータベースによる調査です。

ホームページなどで公開している決算報告、IR情報、役員などの人事異動だけでなく、就職情報サイトなどに掲載されている情報が事実とずれていないかなどをチェックします。

また昨今は、インターネット上の風評や誹謗中傷などの有無、内容もチェックされることが多いです。

側面調査

側面調査は、調査相手の取引先や銀行、同業者、住所を置いているビルのオーナーなどから情報を集める調査です。「既に保有する情報が正しいか」を確認する目的もあることから「裏付け調査」とも言います。

側面調査の協力を仰ぐ相手は、信憑性の高い情報を提供してくれる情報元を選ぶことが重要です。

④第三者による依頼調査

上記の調査では情報が不十分であると判断された場合、第三者による依頼調査が行われます。

依頼調査は、企業を専門的に調査している信用調査会社に調査を依頼するのが主な方法で、自社の調査時間を省けるほか、自社ではカバーできない客観的な情報を入手し、調査会社独自のノウハウによる評価を得ることができるので、現在は一般的に幅広く利用されています。

上場審査で見られるポイント

上場審査のポイントのイメージ画像

一般的な信用審査(与信調査)にの流れについて上記で解説しましたが、企業が上場を希望する場合も信用審査同様の調査(=上場審査)が証券会社・証券取引所によって行われます。

企業が上場に至る流れは、以下の通りです。

  • 企業が証券取引所に申請を行う
  • 証券取引所が定める基準(上場審査基準)に適合しているか審査が行われる
  • 審査に通ると上場が承認

ここからは、信用審査に値する上場審査について、解説します。

上場審査の方法

証券会社・証券取引所による上場審査は、主に以下のような方法で行われます。

  • 書面による質問・ヒアリング
  • 実地調査
  • 監査法人・代表者・監査役・独立役員へのヒアリング
  • 証券取引所への会社説明会

上場審査の基準

上場の基準は、上場区分(東京証券取引所の市場第1部企業/市場第2部企業/JASDAQスタンダード企業/JASDAQグロース企業/マザーズ企業)によっても異なりますが、大きく分けると「形式基準」と「実質基準」の2種類があり、両方をクリアしなければなりません。

形式基準(形式要件)
→上場する株式数や株主数、時価総額、利益額など、数値などで定められた定量的な基準。
実質基準(実質審査基準)
→「適切な管理体制を構築しているか」「将来を見通した経営が公正かつ忠実に行われているか」などを審査する定性的な基準。
「実質基準」に関しては、以下の5つの適格要件が定められています。

  • 企業の継続性及び収益性
  • 企業経営の健全性
  • 企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
  • 企業内容等の開示の適正性
  • その他公益または投資者保護の観点から必要と認める事項

上場審査に落ちる理由

上場審査には基準がありますが、特に実質基準は「上場会社としてふさわしい充実した管理体制を備えた会社であるかどうか」を、金額や数値等の明確な尺度ではない定性的な側面で判断します。

「形式基準には適合しているのに上場審査に落ちる」場合の原因例を以下に挙げます。

①風評被害

企業が風評被害・誹謗中傷に遭ったことがある場合、上場審査に悪影響を及ぼす可能性があります。

昨今ではいわゆる「炎上」以外にも、ネット上にはレピュテーションリスクが潜んでいることから、企業の的確な対応が求められています。

レピュテーションリスクとは

企業やブランドに対するネガティブな評判が広まる、企業経営に悪影響を及ぼすリスクのこと。
レピュテーションリスクについての記事はコチラ▶︎

つまり、風評被害・誹謗中傷に遭ったことがある場合、上記の「5つの適格要件」である「企業の継続性や健全性、内部管理体制の有効性」などに不適合の可能性があると捉えられ、その真偽に関わらず、その情報が調査の対象となるのです。

②反社会的勢力

反社会的勢力との関係は、上場審査においてとても厳しくチェックされます。

上場申請時は「反社会的勢力との関係が無いことを示す確認書」を提出します。確認書に加え、「反社会的勢力を排除する為に必要な体制整備が図られているか」という点も審査対象で、代表者や役員だけでなく、取引先なども反社会勢力との関係を調べられます。

そのため関係各所への事前確認が必須で、反社会的勢力との関係は完全に遮断する必要があります

③逮捕歴

逮捕歴や犯罪歴があっても上場審査で承認を受けることは可能ですが、「事業活動に支障をきたす」と判断されると上場に影響があります

例えば、過去の犯罪に関する記事がインターネット上のニュースなどに残っている場合、上場後に再びその事案が取り上げられれば「企業イメージを損ない、経営に支障をきたす恐れがある」と判断され、上場が難しくなるでしょう。

犯罪の有無が審議される進行中の訴訟を抱えている場合も、有罪となって刑事罰を受ける可能性があることから、上場審査に通らない可能性があります。

また逮捕歴や犯罪歴を隠して上場申請した場合、順調に審査が進んでいても、事実が発覚すると上場日前日であっても、承認が取り消されます。

過去の逮捕・犯罪が反社会勢力との関係性が疑われるような内容だった場合は、さらに厳しく追及を受ける可能性があるでしょう。

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上場審査で求められるコンプライアンス

コンプライアンスは「法令遵守」を意味しますが、現在上場企業に求められているコンプライアンスは、法令遵守だけではありません。倫理観、秩序など社会的な規範に従い、公正・公平に業務を行うために、以下のような広範にわたる留意が必要です。

  • 法令違反
  • 労働問題
  • 不正経理
  • 情報漏洩
  • 反社会的勢力との関わり
  • ネット上の風評被害 など

例えば、情報漏洩が起きた場合、これがシステムの問題ではなく社員の故意によって起こされた場合は「社内ルールの不備」が問われます。そして近年は「サービス残業の有無」については審査の必須事項であり、これが発覚すると労働問題として問われます。

これらがクリアできているかと同時に、上記を防ぐ体制が整っているかどうかがポイントです。会社によって対処すべき問題は違いますが、一つ一つの問題をクリアにし、時間をかけてコンプライアンス体制を整えていくことが重要です。

上場時の信用審査(与信調査)で気を付けるポイント5選

信用審査で気をつけることのイメージ画像

企業の上場にも大きく影響のある信用審査(与信調査)ですが、この審査にスムーズ通るために気をつけるポイントをまとめます。

①健全な経営状態の維持

ビジネスを行う上で「きちんと売掛金を支払える売上があるか」は、信用を得るための大前提です。

信用審査(与信調査)では、担保余力の有無、金融機関に対する未払い金や税金滞納の有無、資産や財務状況の確認だけでなく、在庫に過剰な増減はないか、返品は多くないかなどの荷動きもチェックされます。

また社員の行動も経営状況を知る手段となっており、労働条件に関する争いや相次ぐ離職や集団離職などの内部トラブルは、健全な経営状態を維持しているとは判断されません。

自社でもすぐに確認できる体制を整え、健全な経営状態を維持しましょう

②充実した商品・サービスの提供

企業として、顧客のニーズに応える良質な商品・サービスの提供を行うことに努めましょう

例えば商品を販売する場合は、誇大な広告・宣伝を控え、顧客の悩みを解決できるような商品作りを行うなど、顧客を常に意識し、不満を感じさせないような配慮を続けることが、結果的に世間からの信用を高め、売上アップにもつながります。

サービスを展開する上では、商品だけでなく経営者や社員の人柄も企業の顔ともなり得ます。数値では判断しにくい定性データも信用審査(与信調査)では重要視されており、数値化できる定量データと併せて判断材料になることから、肌感覚で判断される経営者や社員の対応にも留意しましょう。

③労働環境の整備

商品・サービスの品質維持、業務の適正を確保するために、社員が働く労働環境を整備することは必須です。

充実した商品・サービス提供、健全な経営状態の維持だけに目を向け、社内の労働環境の整備を怠ると、優秀な人材が流出したり、退職した社員からの悪評判が広まったりすることにつながります。もともとは小さな火種だった悪評判が「風評被害・誹謗中傷」の増大になり、結果的に企業を大きく揺るがすダメージにもなり得るのです。

つまり、外から見える情報だけに目を向けるのではななく、内部の声にもきちんと耳を傾けましょう。

④社員教育の徹底

会社の与信レベルは、管理部門だけが対策を講じれば向上するというものではありません。社員一人一人のマインドと能力の高さによるところが大きいです。

つまり、会計、税務、法律などの幅広い知識のある管理部門が、継続的にに社員教育を実施していくことが重要です。社員教育する上では、SNS投稿のリスクや、それに伴う個人賠償リスクなど、一人一人に危機意識を持ってもらうことが大切です。

さらに社員には、同意書や誓約書の提出を義務付けるようにしましょう。

⑤風評被害・誹謗中傷への対策

インターネットが広まった現代において、ネット上の風評や誹謗中傷は企業にとっても死活問題となっており、レピュテーションリスクへの対策は非常に重要です。

レピュテーションリスクを防ぐためには「リスクが広がる前に対処するため、ネガティブな評判を早期に検知すること」が有効です。迅速な対応をとることで、ポジティブな評判に転換できるケースもあります。

第三者や外部サービスの使用による「監視体制の強化」で、長期的な人件費カットも実現でき、何より風評被害や誹謗中傷のリスクを軽減させることができます。

【まとめ】上場時の信用審査(与信調査)

この記事では、与信調査の流れ・方法・上場審査で見られるポイントなどについて解説しました。

取引先の新規開拓だけでなく、上場時にも欠かせない信用審査(与信調査)は様々な側面から調査が進みます。支払い能力が十分にない会社との取引や連鎖倒産に巻き込まれることなどを防ぐためには、この審査を甘く見るのは厳禁です。

上場審査も、近年では申請しても承認に至らないケースが急増しています。要因は様々考えられますが、現在はネット上にある情報が調査の判断材料になる時代になっており、企業のコンプライアンス体制を整える上では、ネット上の風評被害・誹謗中傷対策も重要視されています。

上場審査を含む、信用審査(与信調査)の基準に達するには、近道はありません。事前の対策を一つ一つしっかりと講じることが必要です。

投稿者プロフィール

デジタルリスク施策部
デジタルリスク施策部
誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
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