急速にSNSが普及し、誰でも簡単に情報発信や情報を探すことができるようになり、企業もこぞってSNSアカウントの運用に乗り出しています。確かにSNSを運用することでユーザーの生の声を聞くことができますし、不特定多数の人に企業のことを知ってもらえる可能性も広がります。しかし、インターネットで発信を行うことにより予期せぬトラブルを引き起こす危険があることをご存知でしょうか?
今回は、ネット炎上することで起こる個人・企業に及ぼす影響やネット炎上の予防法と対策をわかりやすく解説します。
本記事で分かること
- ネット炎上とは?
- ネット炎上することで個人・企業に及ぼす影響は?
- ネット炎上してしまった時の対策法
- ネット炎上を防ぐためには
目次
ネット炎上とは?
まず初めに「ネット炎上」とは、どのような意味なのか解説します。
SNSやインターネット上における炎上とは、FacebookやTwitter、ブログなどのSNSサイトのコメント機能を使って、火が勢いよく燃えるかのように好意的ではないコメントが集中的に投稿されることです。真実や事実であるかどうかに関係なくネガティブな情報が拡散されることを指しています。
たった一回の投稿や書き込みでSNSでつながるフォロワーや友達に共有・シェア・リツイートという形で広まっていくので、幅広い属性や年齢層にリーチし、結果的に企業や組織、メーカーやブランド、個人的なネガティブな情報が大々的に認知されてしまいます。ここで問題なのは炎上している内容が真実であるかどうかが関係がないことです。
ネット炎上は対策を取らなければ、一瞬でネガティブな情報が拡散され内容が事実であれば企業や組織として認めねばならず、社会的な信用の失墜、場合によっては存続が不可能になるほどのダメージを受ける可能性があります。
炎上発生件数はスマートフォンとSNSが普及し始めた2011年を境に急激に増加しており、個人・企業問わず炎上の対象となっています。これらはSNS炎上事件の発生数が単純に増加しただけでなく、世間の注目レベルが増したことも表しているといえます。
ネット炎上で及ぼされる影響は?
ネット炎上を引き起こしてしまうと、個人・企業に関わらず対策を取らなければ、甚大な被害を被ってしまう可能性があります。それぞれ考えられる影響がこちら。
個人の場合
個人が炎上騒動を起こしてしまうと、本人だけでなく周囲の人間関係や今後のライフステージにまで悪影響が及ぶ危険性があります。
- 個人情報(本名、顔写真、住所、勤務先など)の流出と晒し
- いたずら電話などの嫌がらせ
- ネットストーカー
- 友人・家族・所属企業/団体への嫌がらせ
- 離婚・一家離散・婚約破棄
- (企業からの)損害賠償請求・解雇・内定取り消し
- (学校からの)停学/退学処分
ネット炎上の事例(個人)
2007年 ディズニーランドの不正入場で内定取り消し
この学生は小柄であることを利用してディズニーランドに正規の料金ではなく中学生料金で入場。そのことを「夢の国だからいいよね」 などと正当化する内容をmixiに投稿していたことから炎上。さらにこの学生は、JRの無賃乗車などもmixiに投稿していたのです。炎上した時点で地方銀行に内定をしていたのですが、mixiは当時、友人からの紹介登録制と合わせて実名公開を推奨。それもあって、この大学生も実名や内定先などを公開していたのです。この学生が通う大学や内定先の銀行に抗議が殺到。その後の処分は不明ですが、内定取り消しになった可能性が高いと思われます。
2013年10月 店員に土下座をさせるなどで30万円の罰金
「ファッションセンターしまむら」で店員に土下座をさせ、その様子を写真に撮ってTwitterに投稿した40代女性が強要罪の疑いで逮捕された事件。 容疑者は、「タオルケットに穴が開いていた。返品のため費やした交通費と時間を返せ」などとクレームをつけてしまむらの店員を土下座させたうえ、自宅に来て謝罪するよう念書を書かせ、さらに「従業員の商品管理の悪さの為に損害を与えたとして謝罪するしまむら苗穂店の店長代理××と平社員××」(××は人名)というコメントと共に、土下座するしまむらの店員の写真をTwitterに投稿。
逮捕後、裁判所は容疑者に対し、名誉毀損を適用して30万円の罰金を科しています。
企業の場合
企業が炎上騒動を起こしてしまうと、最悪の場合倒産を引き起こしてしまう可能性が考えられます。企業アカウントでの炎上だけではなく、従業員個人のアカウントや言動が原因の場合も考えられますので、徹底した社員教育や対策をとる必要があります。
- 不買運動・取引停止
- 売上/株価の下落
- 企業としての信用失墜・ブランドイメージ低下
- クレーム対応/商品回収/返金対応/訴訟対応などによるコスト増
- 求人応募者の減少・内定辞退者の増加
- 従業員のモチベーション低下・退職者の増加
- 倒産
ネット炎上の事例(企業)
ウォルト・ディズニー・ジャパン公式アカウント
2015年8月9日(日)ウォルト・ディズニー・ジャパン公式アカウントが「A VERYMERRY UNBIRTHDAY TO YOU!」のメッセージが入った、アリスの画像と意訳した「なんでもない日おめでとう」というメッセージを投稿し、炎上。8月9日は長崎の原爆記念日であり、特に2015年8月9日は原爆投下から70年の節目の年でした。原爆の日に、国民感情を逆撫でするようなツイートをしたとして、批判が相次ぎ、ウォルト・ディズニー・ジャパンの公式アカウントは該当ツイートを削除、謝罪を行いました。
まるか食品
人気商品ペヤングソース焼きそばの異物混入が発覚し、SNSを中心に炎上。
これは消費者の投稿から発覚した事例で、調理前のペヤングにゴキブリが絡まっている写真がTwitterにて投稿されるとネット上で瞬く間に広がり、炎上。12月~翌年の5月まで、40万食/日あったカップ焼きそばの生産を中止する事態に追い込まれました。
企業の不適切な発言という例ではなく、商品・サービスに問題がある場合も、このように消費者のソーシャルメディア上での投稿を機に、大きく炎上してしまうケースがあります。
ネット炎上してしまった時の対策法は?
一度炎上してしまうと収拾がつかなくなるのが、ネット炎上の怖いところです。企業として炎上した場合は下記のような迅速な対策を行いましょう。
- 炎上している投稿を保存する
- 投稿を削除し謝罪文を投稿する
- 企業の公式サイトで発表する
- 投稿した人物を調べる
- 検索候補キーワードの削除依頼
①炎上している投稿を保存する
まずは、炎上している投稿のURLと投稿画面を保存しておきましょう。投稿記事を後に削除するため、URLと一緒に投稿画面を保存しておくことをお勧めします。炎上が拡大していく中で投稿の内容が加工されてしまうことがあるので、投稿を削除する前に一度オリジナルの投稿画面を保存しておく必要があります。
②投稿を削除し謝罪文を投稿する
SNSやネットの炎上で一番恐ろしい点が「拡散力」になります。投稿が残っている場合、ユーザーにどんどん拡散され、炎上が拡大する恐れがあります。なので、投稿画面を保存した後は投稿を削除することで拡散を防ぎましょう。その後、問題の投稿が行なわれたアカウントで謝罪文を投下します。
③企業の公式サイトで発表する
該当のSNSで謝罪文を投下した後は企業の公式サイトで発表をしましょう。SNSで炎上してしまっている場合、世間から企業に対するイメージは低下している状態になります。なので、SNSでの謝罪だけでなく公式サイトの方でもしっかりと誠意を見せた謝罪をする必要があります。従業員への管理不足で起きてしまった炎上に対する謝罪や今後の再発防止についての旨などを発表し誠意を見せることが大切です。
④投稿した人物を調べる
投稿の削除や公式サイトでの謝罪が完了したら炎上したツイートを投稿した人物について調べましょう。誰がどのような理由でツイートをしたのか調べることで炎上に至った原因を調査します。ツイートをした本人を特定できなければ再び同じような問題が起こる可能性も十分あります。投稿者を特定して投稿した経緯を知ることで次回以降の再発防止に役立てることができます。
⑤検索候補キーワードの削除依頼
事態が大きく炎上してしまった場合、GoogleやYahooの検索候補「炎上に関するネガティブなキーワード」が表示される可能性もあります。検索候補にネガティブなキーワードが表示されてしまうと企業に大きなマイナスの影響を与えてしまいます。
例えば、就職を考えている学生が企業名で検索した時にネガティブなキーワードがたくさん出てくれば応募することを控えてしまうことが考えられます。また、企業のサービスを利用しようとする人が企業名を入れて検索した際にネガティブなキーワードが出てきた場合、利用を辞めることに繋がる恐れもあります。
このように検索候補キーワードが企業に与える影響はとても大きいので、もし検索候補にネガティブな内容のキーワードが表示されていた場合はいち早く削除することをお勧めします。
ネット炎上を防ぐための対策3つ
ネット炎上はネガティブなイメージを残し、甚大な影響を及ぼしかねないため積極的な防止策を打つことが大切です。思いもよらないところから発生することもありますので完全に避けることは困難ですが、これらの対策を取れば、リスクを減らすことはできます。
- 企業の機密事項などはSNSでやり取りしない
- 憶測での発信を控える
- 個人情報は書き込まない
まとめ・ネット炎上を防ぐために投稿前にもう一度確認を
ネット炎上対策方法について解説しました。簡単にポイントをまとめておきます。
本記事のポイント
- 企業の機密事項はSNSで発信しない
- 憶測での発信は行わない
- 個人が特定されるような内容は投稿しない
不特定多数の人が見ているインターネットですので、「これくらい書いても大丈夫だろう。」と軽率な行動をとってしまうと自分自身や企業にとって取り返しのつかないことになる可能性があります。SNSに投稿をする前に、この投稿は本当に掲載して問題ない内容なのか確認することを習慣にすることで未然にネット炎上対策することにも繋がります。
投稿者プロフィール
- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
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