裁判は大きく分けると民事裁判と刑事裁判があります。それぞれの裁判は様々な工程を経て、最終的な決断が下されるのですが「裁判開始から終了まで、どのくらいの期間がかかるのだろうか?」と疑問を感じている人も多いのではないでしょうか?
そのような方の為に、この記事では民事裁判と刑事裁判を起こした場合の平均裁判期間や、最短1ヵ月で誹謗中傷記事・書き込みの削除をすることができる方法などを具体的にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
目次
民事裁判の概要や裁判の期間などを解説
まずは、民事裁判の概要から裁判にかかる期間などを具体的に説明していきます。
民事裁判とは
民事裁判とは、民間人の間に起こったトラブルを解決するための裁判です。ちなみに民間人とは、公務員のような公的機関に所属していない人、軍人や戦闘員ではない人のことを指します。
具体的にどのようなトラブルで民事裁判が行われるのかというと、以下のようなトラブルが取り上げられます。
ポイント
- アパートの入居者が家賃を滞納している
- 商品代金を支払ってもらえない
- 貸したお金を期日までに返してもらえない
民事裁判では、裁判を起こした原告が訴えられた被告に対して損害賠償のような法的な請求を行い、裁判官が原告の主張は適切かどうかを判断してくれます。
民事裁判は7つの流れに沿って進む
民事裁判は以下のような流れで進みます。
ポイント
- 提訴
- 被告への送達
- 第一回期日
- 弁論準備
- 尋問
- 最終弁論期日
- 判決
それぞれの流れを簡潔に説明していきます。
- 提訴
まずは、訴状という証拠を集めた書類を裁判所に提出して「裁判を起こしたいです」と被告を訴えます。
- 被告への送達
訴状を受け取った裁判所が一回目の期日を決めて、訴えられた被告に訴状と証拠のコピーが送られます。
- 第一回期日
第一回目期日では、原告と被告が裁判所に出向き、訴状や答弁書の内容確認、原告と被告が提出した証拠の確認を行い、次回の裁判の予定を話し合います。
- 弁論準備
弁論準備は、続行期日とも呼ばれ、原告と被告の主張と反論を行いながら情報の整理を行っていきます。
- 尋問
尋問は、簡単に言うと証人尋問のようなことを行います。
- 最終弁論期日
最終弁論期日では、原告と被告それぞれがまとめた主張を書面に記載して、裁判所に提出します。
- 判決
これまでの、情報をもとに最終的な判決を裁判所が下します。
民事裁判の期間は約12ヶ月~13ヶ月
裁判所データブック2018の平成20~29年の情報を参考にすると、民事裁判の始まりから終わりまでの期間は、約12~13ヶ月です。民事裁判は控訴の内容によって、大きく期間が異なります。
例えば医療控訴の場合は約25ヶ月、労働関係控訴の場合は約15ヶ月かかっています。誹謗中傷を受けた被害の大きさにもよりますが、民事裁判は最短で8ヶ月、順調に裁判が行われて1年前後かかると考えておいた方が良いでしょう。
民事裁判にかかる5つの費用
民事裁判にかかる費用は以下の通りです。
ポイント
- 印紙代
- 郵便切手代
- 交通費
- 謄写費用
- 弁護士費用
印紙代は、請求する金額によって大きく異なります。例えば請求金額が、100万円であれば1万円、300万円であれば2万円が必要になってきます。
刑事裁判の概要や裁判の期間を解説
次は、刑事裁判の概要から裁判にかかる期間などを具体的に説明していきます。
刑事裁判とは
刑事裁判とは、被告人の罪が有罪か無罪かを判断する裁判です。例えば原告が「Aさんは自分の名誉を棄損した」という主張に対して、被告が「いいえ、名誉毀損はしていない」と否定した場合に刑事裁判が行われます。
「民事裁判と刑事裁判って何が違うの?同じ裁判でしょう?」と考えている人もいるかもしれませんが、違いは以下の通りです。
ポイント
- 刑事裁判は刑罰が下される裁判
- 民事裁判は損害賠償の請求をすることが出来る裁判
刑事裁判は4つの流れに沿って進む
刑事裁判の流れは以下の通りです。
ポイント
- 第一審手続き
- 控訴
- 上告
- 再審
それぞれの流れを簡潔に説明していきます。
- 第一審手続き
第一審手続きは、さらに細かく分けると公訴提起や弁護人選任など、様々な手続きがあるのですが、簡単に説明すると「起訴から判決」までのことを指します。
- 控訴
控訴は、第一審の判決に対して不服がある場合に、その取り消しや変更の申し立てを行うことが出来ます。
- 上告
上告は、控訴審の判決に対して不服がある場合に、その取り消しや変更の申し立てを行うことが出来ます。
- 再審
再審は、確定判決の事実認定に不備がある場合に、その不備を訂正することが出来る非常救済手続きです。
刑事裁判の期間は約3ヶ月
裁判統計資料によると、刑事裁判にかかる期間は約3ヶ月です。1年や2年を超える刑事裁判が行われることもありますが、確率的には1.8%という結果が出ています。
刑事裁判にかかる2つの費用
民事裁判にかかる費用は以下の通りです。
ポイント
- 控訴費用
- 弁護士費用
控訴費用の内訳は、裁判所が証人や鑑定人・通訳人に支給した旅費・日当・宿泊費などが挙げられます。
裁判が長くなる理由と短くなる理由
裁判の期間は1年未満で終わることもありますが、中には2年以上かかる裁判もあります。ここでは、なぜこのように裁判の期間には差が生まれてしまうのかを具体的に説明していきます。まず裁判が長くなると考えられる理由は以下の通りです。
裁判が長くなると考えられる理由
- 事件や争う内容が複雑
- 和解ができない
- 原告や被告が裁判の進行に協力的ではない
- 弁護士がいない
- 裁判の途中に裁判所の長期休暇が重なった
一般的に裁判が長引く原因は、知的財産権控訴や行政控訴など、事案が複雑であることがほとんどだと言われています。反対に、事件や争う内容が簡潔である場合やスムーズに和解が成立した場合など、上記とは逆のことが起きると裁判は比較的短く終わると言われています。
一刻を争うという人は「仮処分」を利用しよう
民事裁判の期間は約1年、刑事裁判は約3ヶ月かかるということをお伝えしてきましたが「一刻も早く誹謗中傷記事や書き込みの削除を行いたい」という場合は、仮処分を利用してみましょう。ここでは仮処分の概要や期間、認められる条件などを具体的に説明していきます。
仮処分とは
仮処分とは、正式な裁判を行う前に、勝訴した時と同じような対応をあらかじめ確保することが出来る制度です。仮処分と聞くと「なんだか効果が弱そうだな」と感じる人もいるかもしれませんが、裁判所が相手に命令を下すことで、基本的には誹謗中傷記事や書き込みの削除に応じてくれます。
期間は後述しますが、民事裁判や刑事裁判よりも裁判期間が短いため、一刻も早く誹謗中傷の記事や書き込みを削除したいという人は検討してほしい制度です。
仮処分は5つの流れに沿って進む
仮処分の流れは以下の通りです。
ポイント
- 削除請求の申し立て
- 審尋
- 立担保
- 仮処分命令の発令
- 執行
基本的に仮処分命令の発令が出された時点で、相手は誹謗中傷の記事や書き込みを削除してくれます。ただ、中には命令が発令されても削除に応じてくれない人もいます。
そのような場合に初めて、削除するまで一定の金額を被害者に支払わなければいけないという「執行」の手続きが行われます。
仮処分の期間は最短1ヶ月
仮処分が始まり、仮処分命令の発令までにかかる期間は約1~2ヶ月と言われています。民事裁判は約1年、刑事裁判は約3ヶ月の期間を必要とするので、仮処分は2つの裁判に比べて最も期間が短いということが分かります。
仮処分が認められる条件
仮処分は、以下の条件全てに当てはまった時に適用されます。
仮処分が認められる2つの条件
- 被保全権利
- 保全の必要性の要件
誹謗中傷の裁判にかかる期間まとめ
この記事では、誹謗中傷の裁判にかかる期間についてまとめてみました。もう一度おさらいすると、誹謗中傷の裁判にかかる期間は以下の通りです。
ポイント
- 民事裁判→約1年
- 刑事裁判→約3ヶ月
- 仮処分→約1~2ヶ月
民事裁判や刑事裁判はどうしても長い期間を必要とするため、一刻も早く誹謗中傷の記事や書き込みを削除したいという場合は、仮処分を利用してみましょう。
誹謗中傷の記事や書き込みを1年間も放っておいては、新たなトラブルや個人・会社のブランド力低下など二次被害が起こる可能性があります。二次被害を生まないためにも、まずは仮処分を利用してから、民事裁判や刑事裁判を行うようにしましょう。
投稿者プロフィール
- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
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