パチンコ店(ホール)などで、普段何気なく見ているパチンコ台(パチンコ遊技機)。
設置するには「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」や、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(国家公安委員会規則)」などの法律・規則を守る必要があります。
これらは遊技の公正を担保し、射幸心を過度に煽ることを防止する目的があるため、パチンコ業界で働く人は必ず理解しておかなくてはなりません。
この記事では、そんなパチンコ遊技機に関する法律や規則について解説します。
パチンコに馴染みのない方にも分かりやすく説明しているので、新入社員やアルバイトの方もぜひ参考にしてみてください。
▼風営法については、こちらで解説しています。
風営法とは?違反行為や風俗営業の法律規制を解説
目次
遊技機がホールに設置されるまでの二段階承認プロセス
そもそもパチンコ遊技機がホールに設置されるまでには、国家公安委員会による「型式の検定」と「認定」という2つの段階的な承認が必要です。
これは不正な台が世に出回らないようにするために国が定めた、パチンコメーカーに対する厳しい審査プロセスとなっています。
パチンコ遊技機のルールとしては入門編とも言える基本的な内容なので、しっかりと覚えておきましょう。
第一の関門「型式の検定」とは?
「型式の検定」は、パチンコメーカーが開発した新しい機種(型式)が、法律で定められた「技術上の規格」に適合しているかを審査する手続きです。
分かりやすく言えば、パチンコ遊技機の設計図をチェックする工程となっています。
この審査では、国の指定試験機関によって厳格な試験を行なうのが特徴。
具体的には、実際にパチンコ遊技機を使って「大当たり」の確率や「出玉」の量などが、法律で決められた範囲内に収まっているかを厳しく調べます。
この審査に合格すると、パチンコ遊技機は「お墨付き」をもらったことになり、パチンコホールへの設置が可能な機種として認められるわけです。
しかし、「型式検定合格証」の有効期間は認定を受けた日から3年間であるため、有効期限が切れる前に更新の手続きを行なう必要があります。
【資料①】第二章 型式の検定
(遊技機の型式に関する技術上の規格)
第六条 法第二十条第三項の遊技機の型式に関する技術上の規格(以下「技術上の規格」という。)は、別表第二及び別表第三に定めるほか、次の各号に掲げる遊技機の種類に応じ、それぞれ当該各号に掲げる表に定めるとおりとする。
一 ぱちんこ遊技機 別表第四
二 回胴式遊技機 別表第五
三 アレンジボール遊技機 別表第六
四 じやん球遊技機 別表第七
(検定申請の手続)
第七条 検定を受けようとする者は、別記様式第九号の検定申請書(以下「検定申請書」という。)を当該型式に属する遊技機が設置されることとなる営業所の所在地を管轄する公安委員会に提出しなければならない。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
【資料②】第二章 型式の検定
(検定の有効期間)
第十条 検定の有効期間は、前条第一項の規定による公示の日から三年間とする。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
第二の関門「認定」とは?
「認定」は、ホールに設置される個々のパチンコ遊技機が「型式の検定」に合格した型式と同一であり、不正な改造がされていないかを確認する手続きです。
詳しく説明すると、認定された機種の設計図と全く同じかをチェックするために、「勝手に基板が交換されていないか」などを調べる工程となっています。
1台1台を全て確認するこの審査に合格することで、パチンコ遊技機は初めてホールに設置することが許可されるという流れです。
この「認定」に関しても有効期間があり、認定を受けてから3年間と定められていますが、実のところ延長の申請は厳しいのが現状。
パチンコに関する法律・規則の改正頻度が高いことから再度認定を受けるのは難しく、「型式の検定」「認定」ともに最長でも6年間と言われています。
【資料①】第一章 認定
(認定申請の手続)
第一条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法」という。)第二十条第二項の認定(第三項第二号ロ(3)を除き、以下「認定」という。)を受けようとする者は、別記様式第一号の認定申請書(以下「認定申請書」という。)を営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に提出しなければならない。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
【資料②】第一章 認定
(認定の有効期間)
第四条 認定の有効期間は、その認定を受けた日から三年間とする。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
パチンコ法律の心臓部!「技術上の規格」とは
次に、「型式の検定」の際に基準となる「技術上の規格」について詳しく解説します。
技術上の規格とは、「遊技機の型式に関する技術上の規格」のこと。
具体的には、「不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格」と「ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格」を指します。
ここでは「出玉率」と「その他の物理的なルール」に焦点を当てて説明しているので、現在の機種がどのような規格なのかを理解しておきましょう。
射幸心を煽らないための「出玉率」規制
パチンコ遊技機の出玉率は、法律によって上限と下限が厳格に定められています。
その理由は、出玉が極端に偏るのを防ぎ、ユーザーの射幸心を過剰に煽らないようにするため。
短時間で過度な大儲けをしたり、逆に全く出玉がない状態になったりすると、人は射幸心を煽られやすくなります。
したがって「型式の検定」では、安定したゲーム性を保つために出玉率の上限と下限が決められているというわけです。
型式検定は3つの時間で試験が実施され、それぞれ出玉率がチェックされます。
- 1時間の試験:獲得賞球が発射した玉の総数の3分の1以上、2.2倍未満であること。
- 4時間の試験:獲得賞球が発射した玉の総数の5分の2以上、1.5倍未満であること。
- 10時間の試験:獲得賞球が発射した玉の総数の2分の1以上、3分の4未満であること。
【資料】別表第4 ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格(第6条関係)
(1)性能に関する規格
ロ 遊技球の獲得に係る遊技機の性能に関する規格は、次のとおりとする。
(イ)1個の遊技球が入賞口に入賞した場合に、15個を超える数の遊技球を獲得することができるものでないこと。
(ロ)入賞口への遊技球の入賞によらずに遊技球を獲得することができるものでないこと。
(ハ)設定ごとに、遊技球の試射試験を1時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の3分の1を超え、かつ、2.2倍に満たないものであること。
(ニ)設定ごとに、遊技球の試射試験を4時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の5分の2を超え、かつ、1.5倍に満たないものであること。
(ホ)設定ごとに、遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の総数が発射させた遊技球の総数の2分の1を超え、かつ、3分の4に満たないものであること。
(ヘ)設定ごとに、遊技球の試射試験を10時間行つた場合において、獲得する遊技球の数のうち役物の作動によるものの割合が7割(役物が連続して作動する場合における当該役物の作動によるものの割合にあつては、6割)を超えるものでないこと。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
こんなことまで?物理的・構造上の細かいルール
パチンコ遊技機には、他にも細かいルールが定められています。
これらは、「不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格」と「ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格」に記載されているため、その情報量からかなり厳しい規則であることが分かるでしょう。
ここには出玉率も含めて「物理的な規制」と「構造上の規制」が書かれているので、しっかりと把握しておく必要があります。
【技術上の規格の主な項目】
▼不正な改造その他の変更を防止するための遊技機の構造に係る技術上の規格
・基板に関する規格
・主基板に装着される電子部品に関する規格
・その他の規格
▼ぱちんこ遊技機に係る技術上の規格
・性能に関する規格
・構造に関する規格
・材質に関する規格
この中からいくつか分かりやすくまとめたものが、以下の通りです。
- 遊技球の仕様:直径11mm、質量5.4g以上5.7g以下。
- 発射装置の性能:1分間に100個を超えて発射できない。
- 賞球数:1回の入賞で獲得できる賞球は15個を超えない。
- 主基板の保護:不正改造防止のため、開封すると痕跡が残る透明なケースに密封されている。
このように、サイズ・重さ・時間・個数などの具体的な数値を用いた規則が定められているため、「型式の検定」での審査も厳しいものとなります。
基本的にパチンコメーカー側が制作時に守るルールではありますが、ホール側も設置にあたって注意すべき点でもあるので、無視はできません。
パチンコ業界に関わる仕事をする場合は、「技術上の規格」について必ず理解しておきましょう。
ルール違反はどうなる?検定・認定の取消し
不正改造や不正な手段による承認取得が発覚した場合、公安委員会によって「認定」や「検定」が取り消される可能性があります。
そうなるとパチンコ遊技機はホールで稼働できなくなり、撤去されることになるでしょう。
もしパチンコメーカーが違反をすれば全国のホールから撤去される事態に発展するため、メーカー・ホール双方にとって大きな損失となります。
厳しいルールを破れば厳しい罰則をうけることになるので、違反するのは絶対にやめましょう。
【資料①】第二章 型式の検定
(検定の取消し)
第十一条 公安委員会は、第九条第一項の検定を受けた型式に属する遊技機の構造、材質若しくは性能が技術上の規格に適合せず、又は均一性を有していないことが判明したときは、その検定を取り消すことができる。
2 公安委員会は、検定を受けた者が次のいずれかに該当するときは、その検定を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により当該検定を受けたことが判明するに至つたとき。
二 検定を受けた型式に属さない遊技機を検定を受けた型式に属する遊技機として販売し、又は貸し付けたとき。
三 次条の規定に違反して取扱説明書を添付せず、又は第七条第二項第六号ホの取扱説明書と異なる内容の取扱説明書を添付したとき。
四 公安委員会が、この章の規定の施行に必要な限度において、検定を受けた者に対し別記様式第十八号の報告請求書により報告を求めた場合において、その報告がされず、又は虚偽の報告がされたとき。
五 公安委員会が、この章の規定の施行に必要な限度において、警察職員に検定を受けた者の事務所又は事業所において当該検定を受けた型式に属する遊技機その他の物件についての検査をさせ、又は関係者に質問をさせようとした場合において、その検査が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避され、又はその質問に対し陳述がされず、若しくは虚偽の陳述がされたとき。
3 公安委員会は、前二項の規定により検定を取り消そうとするときは、当該検定を受けた者に対し、あらかじめ、その理由を通知して、弁明の機会を与えなければならない。ただし、当該検定を受けた者の所在が不明であるため通知をすることができないときは、この限りでない。
4 公安委員会は、第一項又は第二項の規定により検定を取り消したときは、その旨を、別記様式第十九号の検定取消通知書により当該検定を受けた者に通知するとともに、検定取消しの通知の日から起算して二週間、インターネットの利用その他の方法により公示し、第九条第四項に規定する期間が満了した後の公示について当該検定が取り消された旨を明らかにするための措置をとるものとする。
5 第二項第五号の規定により検査を行う警察職員は、別記様式第二十号の証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
【資料②】第一章 認定
(認定の取消し)
第五条 公安委員会は、認定に係る遊技機に関し、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その認定を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により認定を受けたこと。
二 認定を受けた遊技機にその構造、材質又は性能に影響を及ぼす改造その他の変更が加えられたこと。
2 公安委員会は、前項の規定により認定を取り消そうとするときは、当該認定を受けた者に対し、あらかじめ、その理由を通知して、弁明の機会を与えなければならない。ただし、当該認定を受けた者の所在が不明であるため通知をすることができないときは、この限りでない。
3 公安委員会は、第一項の規定により認定を取り消したときは、その旨を、別記様式第八号の認定取消通知書により当該認定を受けた者に通知するものとする。
引用元:遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則
パチンコの広告宣伝ガイドラインも要確認
ここまでパチンコ遊技機に関する法律・規則を紹介しましたが、パチンコの広告・宣伝にも遵守すべき複雑なガイドラインが存在します。
この「パチンコ広告宣伝ガイドライン」は、ホール関係4団体が自主的に定めた「広告を出す際のルール」です。
このルールを破るとパチンコ業界全体のコンプライアンスに違反するため、ホールを運営する企業は充分に注意する必要があります。
【パチンコホール関係4団体】
・全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)
・一般社団法人 日本遊技関連事業協会(日遊協)
・一般社団法人 MIRAIぱちんこ産業連盟(MIRAI)
・一般社団法人 余暇環境整備推進協議会(余暇進)
▼パチンコの広告宣伝ガイドラインについては、こちらで解説しています。
【2025年最新】パチンコ広告宣伝ガイドライン改定(第3版)の変更点を完全解説!SNS違反を防ぐ対策ツールも紹介
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【まとめ】パチンコの法律・規則は健全化を図るためのルール
パチンコに関する法律・規則として絶対に把握しておきたいのが、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」。
ここに定められているのはパチンコ遊技機の設置にまつわるルールですが、その目的はパチンコの健全化を図ることにあります。
著しく射幸心を煽ってギャンブル依存症を誘発するような環境を防ぐため、パチンコ業界全体も自主規制を行なっている近年。
違反すれば今後の運営が危うくなる可能性も高いので、パチンコの法律や規則は全て把握しておいた方が良いかもしれません。
投稿者プロフィール

- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。