企業がSNSで公式アカウントを作成して運用する際は、ガイドラインやポリシーなどを策定するのが一般的です。
大企業では公式サイトにこれらのSNS運用ルールを掲載している場合が多いですが、中小企業や零細企業ではどのように対応すべきなのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事ではそんなSNS担当者向けに、企業におけるSNSの運用ルールについて解説します。
ソーシャルメディアのガイドラインやポリシー、制定の際に必要な項目も説明しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
企業にSNS運用ルールが必要な理由
まずはじめに、企業にSNSの運用ルールが必要な理由から説明します。
「ルールがなくても今のところ何も問題ない」と思っていても、後になって解決できない事態に陥ってしまうことは珍しくありません。
そのため、SNS運用ルールが必要な理由をしっかりと理解しておきましょう。
理由① 一定の質を保ちながら属人化を防ぐ
SNS担当者が退職や異動などによって変更になった場合も、SNS運用ルールを決めていれば、質を落とすことなく運用を続けていくことができます。
これは業務の属人化を防ぐためでもあるので、とても重要なポイントです。
属人化とは、業務が「その人でなければ分からない」「その人でなければできない」という状態になっていることを指します。
つまり、その担当者がいなくなると運用の質が下がったり、運用が停止してしまったりする状態です。
SNSにかぎらず、会社では1人の担当者に任せきりだとさまざまな業務が立ち行かなくなります。
したがって、マーケティング戦略の一つであるSNS運用でルールを定めることは、会社の経営のためにも必要だと言えるでしょう。
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SNSを集客に活用!SNSマーケティング成功事例も紹介
理由② トラブル防止&迅速な対処のため
SNS運用をしているとさまざまなトラブルが想定されるので、防止方法や対処方法を事前に設定しておく必要があります。
主なトラブルとしては、不謹慎な内容の投稿や、ユーザーへの不適切な対応など。
いろいろなことが考えられますが、最終的にはSNS炎上・ネット炎上に発展してしまうため、問題が発生したら早急に解決しなければなりません。
だからこそ必要なのが、SNSの運用ルール。
対応部署や対応プロセスなどをあらかじめ決めておくことにより、迅速な対応が可能となります。
これは企業のブランドイメージや従業員を守ることにも繋がるのが特徴。
リスク管理(リスクマネジメント)や危機管理(クライシスマネジメント)の面でも、企業にとってSNSアカウントの運用にルールは必須です。
▼危機管理(クライシスマネジメント)については、こちらをチェック!
企業の危機管理とは?危機管理の重要性や企業の事例を紹介
企業のSNSアカウントの運用ルールは3種類
企業のSNSアカウントの運用ルールは、主に3種類に分けられます。
社内向けの「ガイドライン」と、社外向けの「ソーシャルメディアポリシー」「コミュニティ・ガイドライン」です。
簡単に言えば、SNSを運用する社員が守るべきルールと、SNSを利用しているユーザーに知っておいてほしい・守ってほしいルール。
健全なSNS運用を行なうためには、適切なSNS運用ルールが必要となるので、企業とユーザーがお互いにそれを守るということです。
以下で詳しく説明しますので、この機会にガイドラインとポリシーの違いを把握しておきましょう。
SNS運用ルール① ガイドライン
企業のSNS運用ルールにおける「ガイドライン」とは、社内の従業員を対象としたSNSの運用や利用に関する指針と規定です。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)には、X・Instagram・Facebook・YouTube・TikTok・LINEなど、さまざまな種類があります。
そのため、企業によっては「ソーシャルメディア・ガイドライン」としてまとめられていることも多いです。
このガイドラインでは、SNS担当者をはじめとした従業員が企業の公式アカウントを運用するための規則が記載されます。
例えば、SNS運用中のトラブルを未然に防ぐための手順・禁止事項や、クレーム・炎上が発生した場合の対処方法など。
従業員が独断で対応しないようにするためには、できるだけ詳細なガイドラインを設けることが大切です。
▼企業の公式アカウント運用については、こちらもチェック!
Twitterの企業アカウントとは?運用ポイントを詳しく解説
個人向けにSNSの利用ルールも記載
従業員が多い企業や顧客の個人情報を扱う企業であれば、個人のSNS利用についてもガイドラインに記載されていることがあります。
大企業のように従業員の出入りが多いと、企業の評判を損なう「バイトテロ」のようなリスクも大きくなるのが特徴。
個人のSNS炎上が所属企業の公式アカウントに飛び火する例は多いため、周知・研修用にこのガイドラインが利用されます。
また、世代によってはネットリテラシーに疎いことから、ネット利用全体に関するガイドラインを策定している企業も少なくありません。
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会社は従業員のSNSを監視できる?社員やバイトの炎上事例・対策を解説
SNS運用ルール② ソーシャルメディアポリシー
企業のSNS運用ルールにおける「ソーシャルメディアポリシー」とは、社外に向けてソーシャルメディアに対するスタンスや態度、心構えを表明するものです。
具体的には、以下のような内容が記載されています。
- ソーシャルメディア参加の目的
- ソーシャルメディアの定義・具体例
- ソーシャルメディア参加に当たっての心構え
- ソーシャルメディアの利用目的
- ソーシャルメディアの活用にあたっての基本姿勢
- ソーシャルメディアご利用の皆様へ
これらは、SNSの利用ユーザー及び消費者に対する表明であり、会社が守るべきルールでもあります。
社内の従業員を対象としたガイドラインは、このポリシーに基づいて作成されるというわけです。
大手企業であれば公式サイトに掲載されている場合が殆どなので、公式アカウントと照らし合わせながらSNS運用を分析してみるのも良いでしょう。
【参考】
株式会社 資生堂|企業情報|ソーシャルメディアポリシー
ソフトバンク株式会社|企業・IR|ソーシャルメディア公式アカウント|ソーシャルメディアポリシー
株式会社 明治|公式アカウント一覧|ソーシャルメディアポリシー
SNS運用ルール③ コミュニティ・ガイドライン
企業のSNS運用ルールにおける「コミュニティ・ガイドライン」とは、ソーシャルメディアを利用するユーザー向けに、削除方針・返信対応・禁止事項などの規約を明示するものです。
具体的には、以下のような内容が記載されています。
- 運営について
- お問い合せについて
- フォローについて
- 投稿削除基準について
- 著作権等について
- 免責事項について
- 注意事項について
- 禁止事項について
- 準拠法・裁判管轄について
- 利用者情報の取り扱いについて
コミュニティ・ガイドラインはユーザーの動きに対する会社側のリスクヘッジとして機能するものであるため、厳格で詳細な内容を記載しているのが特徴。
それに比べると、ソーシャルメディアポリシーは内容に共通点があるものの抽象的な表現で記載されています。
これは企業がSNS運用する際に、柔軟な対応ができるようにするため。
企業の考えを社外に示す役割を持つソーシャルメディアポリシーは、あまり明確なルールを設けると対応が難しくなってしまいます。
それに対してコミュニティ・ガイドラインの場合はリスク管理(リスクマネジメント)の役割を持つため、明確なルールが必要になるというわけです。
【参考】
シャープマーケティングジャパン株式会社|ソーシャルメディア公式アカウント|シャープ公式Twitterアカウント コミュニティ・ガイドライン
カゴメ株式会社|ソーシャルメディアポリシー|カゴメSNS公式アカウント コミュニティガイドライン
株式会社ロッテ|企業情報|SNS公式アカウント コミュニティ・ガイドライン
企業のSNS運用ルールで取り入れるべき項目
ここまで企業のSNS運用ルールとして、「ガイドライン」「ソーシャルメディアポリシー」「コミュニティ・ガイドライン」を説明しました。
しかし、零細企業や個人店の場合、そこまで本格的なルールを設けるほどではないと考えている経営者の方も多いでしょう。
そんな方のために、「社内向け」「社外向け」の2つに分けて、SNS運用ルールで取り入れるべき項目を紹介します。
業務の属人化を防ぎ、ネットリスクやトラブルに備えるためにも、最低限のルールを設けておくと安心です。
社内向けSNS運用ルールの場合
社内向けのSNS運用ルールの場合は、主に「投稿」「返信対応」に関する内容を取り入れましょう。
具体的な項目は、下記の通りです。
- 情報発信の基本方針
- 機密事項の保護
- 著作権・知的財産権への理解
- ソフトウェア・ツール使用の制限
- やらせ・ステマ行為等の禁止事項
- SNS炎上に対する対応
以下、分かりやすく簡単に説明します。
情報発信の基本方針
SNSでどのような情報を発信するのかを決めておきます。
これとあわせて、作業者や責任者、チェック担当者などの運用体制を整えましょう。
機密事項の保護
社内の機密事項や、顧客の個人情報などの取り扱いについて定めておきます。
情報をSNSに投稿したり、SNSで知った情報を流出させたりしないように、研修なども行なうのがベストです。
著作権・知的財産権への理解
SNSで著作権や知的財産権の無断利用をしないように、注意事項を明記しておきます。
法的措置等のトラブルを避けるためにも、他者が描いたイラストや他社のロゴなどの取り扱いについて、チェック項目を作っておくと良いでしょう。
ソフトウェア・ツール使用の制限
指定したソフトウェアやツール以外を使用しないように周知しておきます。
ウィルスやスパイウェアが仕込まれた悪質なソフトウェア・ツールを使用してしまうと、サイバー攻撃や個人情報流出にも繋がるので注意しましょう。
やらせ・ステマ行為等の禁止事項
やらせ・ステマ・サクラにあたる行為をしないように、注意事項を明記しておきます。
これらは法律に違反するだけでなく、大規模なネット炎上へと発展する可能性が高いため、しっかりと周知しておく必要があるでしょう。
SNS炎上に対する対応
SNS炎上が起こってしまった場合の対応について、事前に手順を考えておきます。
誹謗中傷や風評被害などの対処に関しては弁護士に依頼できるように、あらかじめ相談先を決めておくことも大切です。
社外向けSNS運用ルールの場合
社外向けのSNS運用ルールの場合は、主に「炎上対策」「ユーザーの行動」に関する内容を取り入れましょう。
具体的な項目は、下記の通りです。
- 個人情報保護法・プライバシーの権利
- 誹謗中傷の禁止
- 責任元の明確化
以下、分かりやすく簡単に説明します。
個人情報保護法・プライバシーの権利
SNSで収集した個人情報を保管・使用することについて、個人情報保護法とプライバシーの権利を守る旨を明記します。
マーケティングの分析や懸賞のプレゼントキャンペーンなど、SNSで個人情報を集める機会が多い時は、しっかりと定めておきましょう。
誹謗中傷の禁止
企業・従業員・公式アカウントを守るため、誹謗中傷に対する禁止事項や法的措置について明記します。
状況に応じて警察に被害届を出したり、民事訴訟(民事裁判)で慰謝料請求をしたりする旨を伝えることも重要です。
責任元の明確化
企業名・ブランド名で運営する公式アカウントは、SNS担当者個人ではなく企業に責任がある旨を明確化しておきます。
また、SNSでは「なりすまし」も多いため、企業が関与していないアカウントで発生した問題は一切の責任がないことも明記しておきましょう。
SNS炎上や誹謗中傷に困ったらBLITZ Marketingに相談
一度SNS炎上が起こると、その被害はネット全体に及ぶので注意しなくてはいけません。
具体的な例としては、ネット掲示板やブログサイトなどの色々な場所に悪質な口コミが投稿されたり、検索エンジンでネガティブなワードが表示されたりします。
これらは勝手に削除されることがないので、すぐに対処しないと炎上したイメージがいつまでも残ってしまうという事態に陥ります。
もしそんな状況でお困りの場合は、誹謗中傷・風評被害対策のプロフェッショナルである「BLITZ Marketing(ブリッツマーケティング)」にお任せください。
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【まとめ】企業のSNS運用ルールはSNSの秩序を守る
企業におけるSNSの運用ルールは、主に「ガイドライン」「ソーシャルメディアポリシー」「コミュニティ・ガイドライン」の3つで成り立っています。
大きく分けると社内(従業員)向けと社外(消費者)向けのルールがあり、健全なSNSの運用のためには必要な規則であると言えるでしょう。
ソーシャルメディア内の秩序を守るためにも、企業側が率先してSNS運用ルールを順守することが大切です。
投稿者プロフィール
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- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
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