人と人との間で争いが起こった場合、内容によっては民事事件や刑事事件として立件できる場合があります。しかし裁判で解決させる場合が全てではなく、当事者同士で解決ができると判断される場合には、和解という選択が取られることもあります。ネット上の誹謗中傷トラブルでは、多くの場合、当事者同士による和解の成立によって解決に至る場合が多く、双方で合意した和解金のやりとりによって問題解決がなされます。
そこで今回は、ネット上の誹謗中傷において、加害者側と被害者側との問題が和解により解決される場合の和解金について解説します。
本記事で分かること
- 和解金とはどのような性質を持つお金なのか?
- ネット誹謗中傷では、なぜ和解が選ばれることが多いのか?
- ネット誹謗中傷での和解金の金額の目安は?
ネット誹謗中傷により経済的なダメージや精神的な傷を受けたものの、できるだけ穏便な方法で解決させたいと考えている人も多いでしょう。ぜひ参考にしていただけたらと思います。
次の記事では、誹謗中傷をされた場合に請求できる慰謝料の相場と弁護士費用の相場について詳しく解説しています。合わせて参考にしてみてくださいね。
-
誹謗中傷をされた場合に請求できる慰謝料の相場と弁護士費用の相場を徹底解説
インターネットが普及した昨今、一般人であっても誹謗中傷の被害に遭うこともあります。誹謗中傷は犯罪であるため、場合によっては慰謝料を請求することが出来ます。しかし「誹謗中傷をされた場合は、どのくらいの慰 ...
続きを見る
目次
和解金とは争いを当事者同士で解決する場合の解決金
和解金とは、争いなどのトラブルを当事者同士で解決する場合に動く解決金のことを指します。示談金とほとんど同じ意味で用いられている言葉です。ネット上での誹謗中傷で和解により解決を図るほとんどの場合において、加害者側から被害者側に対して謝罪し、話し合いの機会を設けることになります。
話し合いの内容を決めてお互いが合意するためには、刑事手続や民事手続きなどの法律に関する専門的な知識が必要であることと、双方にとって平等なルールの上で物事が決められる必要があります。
そのため、和解(示談)とは言っても本人同士で和解し合い、和解金のやり取りをするのではなく、弁護士が間に入り問題解決を進めていくことが多いです。
ネット誹謗中傷で和解(示談)が選ばれる理由
ネット誹謗中傷では、多くの場合、和解(示談)が選ばれることが多いです。その理由について見てみましょう。
刑事事件としての立件を防ぐ
ネット上の誹謗中傷は、内容によっては刑事事件として立件されることがあります。誹謗中傷を行った加害者側は、名誉毀損罪や侮辱罪などに問われる可能性があります。内容の違いについては、ぜひ次の記事を参考にしてみてください。
-
誹謗中傷はどこからが名誉毀損罪になる?具体的な定義や侮辱罪・信用毀損罪との違いも
ネット上で誹謗中傷にあたる記事や言葉を書き込むことで、名誉毀損罪が成立する可能性があります。しかし、どこからが名誉毀損罪になるのか明確に知っている人は少ないでしょう。そこでこの記事では、ネット上の誹謗 ...
続きを見る
これらの罪は「親告罪」という、被害者側が訴えなければそもそも罪として成立しない種類の犯罪です。殺人や窃盗などの罪とは異なり、誹謗中傷をした人物は、被害者側が訴えなければ逮捕されることも起訴されることもありません。そのため、加害者側が誠意を見せて謝罪をすれば、刑事事件として責任追求されることを防げる可能性があります。
そのため、和解(示談)に持ち込むことは、加害者側にとって大きなメリットと言えるでしょう。被害者側にとっても誠意のある謝罪を受けられる上に、刑事事件の立件によるストレスや、かかる費用からも解放されるという利点があります。
慰謝料や損害賠償を抑えられることも
和解(示談)に持ち込むことによって、慰謝料や損害賠償の金額を抑えることができるという点も、和解による解決が多い理由として挙げられます。和解(示談)での解決が可能であるということは、弁護士を挟んだ当事者同士での話し合いが、まだ可能な段階にあるということです。反対に言うと、当事者同士での解決が難しくなると、裁判を通して裁判官に判断を委ねる以外に方法がなくなり、解決方法を自分の意図する方向に持っていくことがさらに難しくなります。
つまり、和解ができる段階では、慰謝料や損害賠償の金額についても相手側と交渉の余地があると解釈することができます。この点を考えても、加害者側にとって和解(示談)を選択するメリットはかなり大きいと言えます。
裁判を防ぎ被害者側の負担を軽減する
和解を選択することは、必ずしも加害者側だけのためになるわけではありません。例えば民事裁判によって損害賠償請求を行うためには、被害者側にとっては弁護士への依頼だけではなく、証人を立てたりするなどの経済的な負担がのしかかることになります。
損害賠償を勝ち取れたとしても、実際に訴訟にかかる費用の金額がそれを上回ることも考えられますし、相手が無職などの場合には賠償金がスムーズに入ってくるとは限りません。仮に勝訴したとしても、裁判所に賠償金を支払わせる強制力はないため、支払いを拒否されることもあり得るのです。以上のような理由から、被害者側にとっても裁判を選ぶことは必ずしも得策ではありません。
ネット誹謗中傷での和解金(示談金)の相場
ネット誹謗中傷において、加害者側から被害者側に支払われる和解金(示談金)の相場はどの程度なのでしょうか。具体的に見てみましょう。
和解金には慰謝料が含まれる
そもそも、和解金(示談金)は、争いに関して被害者側と加害者側が双方で合意する解決金全般のことを指します。そのため、ネット上の誹謗中傷により被害者側が受けた精神的なダメージを賠償するお金である慰謝料は、通常は和解金の中に含まれていると解釈されます。
和解金は様々な要因で変動する
ネット誹謗中傷での和解金の金額は、様々な要因により変動します。
本来ならば、名誉毀損罪や侮辱罪などで立件されるような悪質な案件の場合は、被害者側の精神的・経済的なダメージも大きいと解釈されるため、和解金の金額もより大きくなります。
また、加害者側がどの程度の私財を保有している人物であるかどうかも、和解金の金額に影響します。同じ100万円であっても、会社経営をするような立場の人物にとっての100万円と、無職の人物にとっての100万円とは価値が異なるためです。被害者側にしてみたら中傷を受けたことに変わりはないのですが、加害者側がどの程度の影響力を持つ人物なのかによっても変動することがあります。
一般的な相場は30万円前後
和解金の内訳は場合により異なりますが、ネット上の誹謗中傷被害のほとんどの場合、和解金は精神的な損害を賠償する慰謝料としての性質が強くなります。そのため、相手にもより十数万円〜数百万円と幅があるにしろ、30万円前後の和解金額になるのが一般的です。
一方で、被害内容として店舗の経営などの実害が生まれる場合には、慰謝料ではなく損害賠償としての性質が強くなるため、実害に即した和解金額が設定されることもあります。
まとめ・ネット上の誹謗中傷和解金による解決の検討も
ネット上の誹謗中傷において、被害者側と加害者側との間で取り交わされる和解金について解説しました。いかがでしたでしょうか。簡単にポイントをまとめます。
ネット上の誹謗中傷の和解金による解決・まとめ!
- 和解金とは、争いを当事者同士で解決する場合の解決金のことであり、示談金と同じ意味で用いられることが多い
- ネット上の誹謗中傷は和解により解決に至る場合が多く、和解が成立することで刑事事件の立件を防いだり、慰謝料や損害賠償額を抑えることができる場合も
- ネット誹謗中傷の和解金の金額は、加害者側の社会的立場や誹謗中傷の度合いによって変動するが、一般的な相場は30万円前後
ネット上での誹謗中傷には、様々な対処方法があります。しっかり調査し、正しいステップで対応するようにしましょう。
投稿者プロフィール
- 誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
最新の投稿
\ かんたん30秒で無料相談 /
お問い合わせはこちら