誹謗中傷対策

ネットの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性がある!それぞれの罪について徹底解説!

被害件数が年々増加傾向にあるネットの誹謗中傷。法務省の「インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件の件数」というデータを参考にすると、2,014年は1,429件だったのに対して、2,017年は2,217件と3年で約1.5倍も増加しています。

このように被害者が毎年増え続けているのですが、ネットの誹謗中傷はれっきとした犯罪です。しかし、れっきとした犯罪だと言われても「どのような罪に問われるのか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。

そのような方の為に、この記事ではネットの誹謗中傷で問われる可能性がある3つの罪について具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

ネットの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性がある

ネットの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性があります。ここでは、問われる可能性がある罪について具体的に説明していきます。

名誉毀損罪に問われる可能性がある

ネットの誹謗中傷は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。

名誉毀損罪とは?

名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する罪のこと。

「公然と」とは、不特定多数の人に知れ渡る状態・場所のことを指しています。具体的には以下の通りです。

「公然と」の具体例

  • 「公然と」が成立する→TwitterやInstagram、ネット掲示板など。なぜなら、サイトやサービスにアクセスすれば、誰でも閲覧することが出来るから。
  • 「公然と」が成立しない→メールやLINEの個人トーク、会員制サイトなど。なぜなら、サイトやサービスにアクセスしても、他人の情報を閲覧することは出来ないから。

「事実を摘示して」とは、証拠を用いて判断できることかという意味です。具体的には以下の通りです。

「事実を摘示して」の具体例

  • 「不倫をした、犯罪者」などの言葉を使った場合に「事実を摘示して」が成り立つ。なぜなら「不倫をしたか、犯罪者なのか」というのは、証拠を用いて判断することが出来るから。

「人の名誉を毀損する」とは、人の社会的評価や社会的地位を違法に落としたとされる際に成立します。

ネットで誹謗中傷されて名誉毀損罪が成立した場合、民事上の損害賠償請求をされる他、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」という刑事上の責任を追及されることがあります。

侮辱罪に問われる可能性がある

ネットの誹謗中傷は侮辱罪に問われる可能性があります。

侮辱罪とは

侮辱罪とは、事実を摘示していなくても公然と人を侮辱した際に成立する罪のこと。

名誉毀損罪と似たような罪ですが、大きな違いは「事実を摘示しているか」というところです。名誉毀損罪の場合は「事実を摘示して」いなければ成立しませんが、侮辱罪の場合は「事実を摘示していなくても」成立する場合があります。

少し難しいかと思いますので、具体例を出して説明していきます。まず、「事実を摘示する」というのは、以下のような意味を持っていると説明しました。

「事実を摘示する」とは、証拠を用いて判断できるかということ。

例えば、「株式会社Aは、違法残業をしているブラック企業だ」という誹謗中傷をネットでされたとしましょう。ここでの論点は「違法残業をしているのかどうか」というところです。

一般的には、1ヶ月で45時間以上の残業をさせると違法とみなされます。45時間以上残業をさせているのかどうかは、株式会社Aのタイムカードや日報などを確認すれば分かるはずです。

つまり、証拠を用いて白か黒かを判断することが出来ます。この場合は「事実を摘示している」と判断され、名誉毀損罪が成立することがあります。それでは次に「株式会社Aはバカしかいない」という誹謗中傷をネットでされたとしましょう。

一般的には仕事が出来なかったり勉強が出来なかったりする人をバカと言いますが、法的にバカの定義は定められていません。

つまり、バカかどうかというのは、人それぞれ捉え方が変わってくるので、証拠を用いて白か黒かを判断することが出来ません。

この場合は「事実を摘示していない」と判断されるので、侮辱罪が成立することがあります。

信用毀損罪に問われる可能性がある

ネットの誹謗中傷は信用毀損罪に問われる可能性があります。

信用毀損罪とは?

信用毀損罪とは、虚像の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した際に成立する罪のこと。

少し難しい言葉が多いですが、簡単に説明すると「嘘の情報で他人の信用を傷つけた際」に信用毀損罪が成立します。信用毀損罪が成立する上で最も重要となってくるのは、「信用を毀損しているか」というところです。

信用毀損罪に使われる「信用」は一般的な意味とは異なり、「経済的信用」という意味を持っています。つまり、嘘の情報を流したことでその人が経済的損失を受けた際に信用毀損罪が成立します。

例えば以下のよな誹謗中傷だと信用毀損罪が成立する場合があります。

  • 株式会社Aが制作しているハンガーは1週間で壊れるから買わないほうが良い
  • レストランAは、客が残した食べ物を再利用している
  • ○○ラーメン屋は、ぼったくってくるから危険

上記の情報がすべて嘘だった場合、お店にお客さんが来なくなり、そのお店は売り上げが下がるかもしれません。

そのような状態になった場合、嘘の情報で相手に経済的損失を負わせたとして、信用毀損罪に問われる可能性があります。

ネットで誹謗中傷してきた相手を逮捕してもらうことも出来る

ネットで誹謗中傷された場合、それが罪に問えるのであれば、ネットで誹謗中傷してきた相手を逮捕してもらうことも出来ます。ネットで誹謗中傷してきた相手を逮捕してもらうためには、警察に「告訴状」を提出しなければいけません。

告訴状に関しては、インターネット上にテンプレートがありますので、そちらをダウンロードして使いましょう。しかし、警察も簡単に動いてくれるわけではありません。

告訴状に被害状況や加害者の情報を具体的に記載しないと告訴状を受理してもらえませんので「1人では不安」という場合は弁護士の力を借りるようにしましょう。

ネットで誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求を行うことも出来る

ネットの誹謗中傷によって、あなたが大きな損害を負ってしまった場合は、ネットで誹謗中傷してきた相手に対して損害賠償請求をすることも出来ます。

損害賠償請求とは、加害者に対して損害を埋め合わせするよう、金銭的な補償を求める請求のことです。損害を受けた被害者が一般人の場合は10~50万円、事業主の場合は50~100万円の損害賠償金を請求することが出来ます。

また、影響度にもよりますがインフルエンサーや芸能人の場合は100万円以上の損害賠償金を請求することも出来ます。損害賠償請求をする手順は以下の通りです。

損害賠償請求の手順

  1. 弁護士に相談・依頼する
  2. ネットで誹謗中傷してきた相手のIPアドレスとタイムスタンプを特定する
  3. ネットで誹謗中傷してきた相手のプロバイダを特定する
  4. プロバイダに対して、記録の保存依頼を行う
  5. プロバイダに対して裁判を起こし、加害者を特定する
  6. 損害賠償請求の裁判を起こす

損賠賠償請求の裁判を起こし、その裁判に勝訴すれば加害者から損害賠償金が支払われます。

ネットの誹謗中傷はどのような罪に問われるのかまとめ

この記事では、ネットの誹謗中傷はどのような罪に問われるのかについて具体的にまとめました。もう一度おさらいすると、ネットの誹謗中傷は以下3つの罪に問われる可能性があります。

ネットの誹謗中傷はどのような罪に問われるのかまとめ

  • 名誉毀損罪
  • 侮辱罪
  • 信用毀損罪

ネットで誹謗中傷された際は、損害賠償請求をすることもできますし、加害者を逮捕してもらうことも出来ます。

しかし、そのためにはネットで誹謗中傷されたという証拠が必要になりますので、損害賠償請求や逮捕を考えているのであれば必ず証拠を保存しておくようにしましょう。

投稿者プロフィール

デジタルリスク施策部
デジタルリスク施策部
誹謗中傷対策とWebマーケティングに精通した専門家です。デジタルリスク対策の実績を持ち、これまでに1,000社を超えるクライアントのWebブランディング課題を解決してきました。豊富な経験と専門知識を活かし、クライアントのビジネス成功に貢献しています。
 

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