近年、増加傾向にあるSNSでの誹謗中傷。SNSには、人の社会的評価を落とすような発言や人格を否定するような発言を平気でしている人たちが一定数存在します。
そのように、平気で他人を誹謗中傷する人たちが一定数いる中、「SNS上の誹謗中傷は法律違反ではないのか?」という疑問を抱えている人も多いかと思います。そのような方のために、この記事ではSNS上の誹謗中傷は法律違反なのか?ということについて具体的にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
SNSでの誹謗中傷は法律違反として扱われるのか?
結論から言いますと、度が過ぎた誹謗中傷は法律違反として扱われる場合があります。しかし、「度が過ぎた誹謗中傷は法律違反として扱われる場合がある」という結論だけでは抽象的なので、「どのレベルから度が過ぎていると判断されるのか」ということに対しても説明していきます。
基本的に、度が過ぎているかどうかというのは、以下2つの基準で判断されます。
基準
- 受忍限度を超えるような発言か
- 表現の自由で保護することは出来るか
まずは、1つ目の判断基準である「受忍限度を超えるような発言か」から説明していきます。受忍限度とは、生活する上で我慢すべき限度のことです。日本のように民主的な社会では、意見と批判で成り立っている部分があるので、時には批判も受け入れなければいけないとされています。
そのため、「受忍限度」を超えない限りは、何事も我慢するべきであるという考えが取られています。次に、2つの判断基準である「表現の自由で保護することは出来るか」という判断基準について説明していきます。表現の自由とは、何に対しても縛られることなく自由に表現することができる権利のことです。
違法性が高いかどうかは「表現の自由という権利はあるが、そのような表現をしてはいけないよね」という基準を超えているかどうかが問題になってきます。例えば、特定の人物の社会的評価を下げる誹謗中傷や人格を完全に否定するような発言などは、表現の自由という権利で保護する必要性は低いと言えます。
また、生活する上で我慢すべきことではないので「受忍限度」も超えると言えるでしょう。このように「受忍限度を超えていると同時に、表現の自由で保護する必要は低い」と判断された誹謗中傷に関しては、違法性が高く「度が過ぎている」と判断される可能性が高いと考えられます。
https://webleach.net/blog/slander/3748/
法律違反として扱われる可能性が高い誹謗中傷とそうではない誹謗中傷の具体例
受忍限度を超えていて表現の自由で保護する必要性が低いと判断される誹謗中傷は、法律違反として扱われる場合があると説明してきましたが、「法律違反として扱われる具体的な発言を教えてほしい」という人も多いかと思います。
そのような方のために、ここでは法律違反として扱われる可能性が高い誹謗中傷の具体例と法律違反として扱われる可能性が低い誹謗中傷の具体例について説明していきます。
法律違反として扱われる可能性が高い誹謗中傷の具体例
以下のような誹謗中傷は、法律違反として扱われる可能性が高いと言えます。
法律違反として扱われる可能性が高い誹謗中傷
- お前は生きている価値がない!
- お前の代わりはいくらでもいる!早く死んでしまえ!
- お前は会社の金を横領して豪遊しているんだろ!
- お前みたいなバカのせいで会社のメンバーが困っているんだぞ!この人間の失敗作が!
- 詐欺で稼いだ金で食べる飯は上手いか?よく平気な顔していられるな!
法律違反として扱われる可能性が低い誹謗中傷の具体例
以下のような誹謗中傷は、法律違反として扱われる可能性が低いと言えます。
法律違反として扱われる可能性が低い誹謗中傷
- お前はバカだな!
- ○○さんはオワコンだ
- 芸人の○○さんって面白くないから消えたんでしょ?
- 俺、○○さん気持ち悪いから嫌いなんだよね
- お前って本当に雑魚だよなw
SNSでの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性がある
SNSでの誹謗中傷は3つの罪に問われる可能性があります。ここでは、問われる罪の種類について具体的に説明していきます。
人の名誉を毀損した場合は「名誉毀損罪」に問われる可能性がある
SNSでの誹謗中傷は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
名誉毀損罪とは?
名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する罪のこと。
言葉の意味が分からないという人も多いかと思いますので、簡単に言葉の説明をしていきます。
- 公然と:様々な人が閲覧することができる状態・場所のこと。SNSやブログ、インターネット掲示板など。
- 事実を摘示して:証拠を用いて判断することができる情報のこと。
- 人の名誉を毀損した:人の社会的評価や社会的地位を違法に落としたということ。
例えば、以下のような誹謗中傷は名誉毀損罪が成立する可能性が高いと言えます。
名誉毀損罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- ○○会社のAさんとBさんは不倫しているらしい
- Aさんは、一昨日の殺人事件に関わっているらしい
- Aさんが乗っている高級車は、Aさんが会社から横領した金で買ったらしい
名誉毀損罪が成立すると、損害賠償請求をされる他、3年以下の懲役刑や50万円以下の罰金などが科される場合があります。
バカやアホなどと人を侮辱した場合は「侮辱罪」に問われる可能性がある
SNSでの誹謗中傷は、侮辱罪に問われる可能性があります。
侮辱罪とは?
侮辱罪とは、事実を摘示していなかったとしても公然と人を侮辱した際に成立する罪のこと
名誉毀損罪と似たような罪ですが、侮辱罪と名誉毀損罪の違いは「事実を摘示しているかどうか」です。事実を摘示していた場合は名誉毀損罪が成立しますし、事実を摘示していなかった場合は侮辱罪が成立します。
例えば、以下のような誹謗中傷は侮辱罪が成立する可能性が高いと言えます。
侮辱罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- 今年入社したAさんは、本当にポンコツだ
- お前ほど気持ち悪いやつはいない!気持ち悪いランキングNo.1だな!
- 今回のプロジェクトから抜けてくれ!お前みたいなアホがいると失敗するから。
侮辱罪が成立すると、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置される「拘留」、又は1,000円以上10,000円未満の制裁金を納付する必要がある「科料」のどちらかが科されます。
経済的損失を与えた場合は「信用毀損罪」に問われる可能性がある
SNSでの誹謗中傷は、信用毀損罪に問われる可能性があります。
信用毀損罪とは?
信用毀損罪とは、虚偽の風説を流布したり偽計を用いたりして、他人の信用を毀損、又はその業務を妨害した際に成立する罪のこと
言葉の意味が分からないという人も多いかと思いますので、簡単に言葉の説明をしていきます。
- 虚偽の風説を流布したり:虚偽の情報を流すこと
- 偽計を用いたり:人を騙すこと
- 他人の信用を毀損:他人に経済的損失を与えること
例えば、以下のような誹謗中傷は信用毀損罪が成立する可能性が高いと言えます。
信用毀損罪が成立する可能性が高い誹謗中傷の具体例
- ○○会社は、適正価格の20倍で商品を販売している悪徳業者らしい
- ○○スーパーは、消費期限切れの魚を平気で出しているらしい
- インフルエンサーの○○さんが出している教材は、詐欺教材らしい
信用毀損罪が成立すると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑がかされます。
SNSでの誹謗中傷は法律違反なのかまとめ
この記事では、SNSでの誹謗中傷は法律違反なのかということについて具体的にまとめました。もう一度おさらいすると、度が過ぎた誹謗中傷は法律違反として扱われる場合があります。法律違反として扱われた場合、以下のような罪に問われる可能性があります。
問われる可能性がある罪
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 信用毀損罪
SNS上の誹謗中傷はれっきとした犯罪です。もしも、SNS上で誹謗中傷された場合は「証拠」を保存して警察に相談してみましょう。