インターネットの登場によって私たちの生活はとても便利になりました。
しかし、その一方で風評被害のような問題が増えてきているのも事実です。根拠のない誹謗中傷や悪評によって大きなマイナスの影響を受けている企業もとても多いと思います。
例えば、インターネット上で自社商品についての悪評が書かれていた場合、その会社の商品を買うユーザーの数は減少し、売上に大きな影響を与えます。そういった状況に陥った場合は、なるべく早く風評被害対策をすることが問題の解決策になります。
この記事では誹謗中傷や悪評を書かれてしまった方に向けて、ネットの風評被害対策についてまとめました。風評被害に悩んでいる方は是非参考にして下さい。2019年も12月になり、決定版としてここ最近で起こった内容をまとめている最新版になります。
増加する風評被害
インターネットの登場により誰もが簡単に様々な情報にアクセスすることができるようになりました。そして、それと同時に個人が自分の名前や顔を知られることなく匿名で簡単に発信することも可能になりました。
多くの個人が好きなように発信できる場があるのは良いことですが、その一方で匿名性を利用した風評被害の問題、誹謗中傷の問題が年々増加してきています。
引用:https://reputation-media.net/archives/172
上記の表は法務省の人権擁護機関が公表した「人権侵犯事件に対する取り組み状況」になります。この表から分かる通り、インターネット上で人権侵犯事件に関する件数は10年間で6.8倍に増加しています。
その中でも、特定の個人に対して根拠のない噂や悪口などを書き込むなどして、その人の社会的評価を低下させる名誉棄損が約30%、個人情報や私生活の事実に関わる内容などを本人に無断で掲載するプライバシー侵害に関する事柄が50%となっています。この2つだけで全体の約8割を占めていることが分かります。
特に最近ではインターネットの他にもツイッター、インスタグラム、フェイスブックといったSNSも普及しているため、実際はこの表よりもインターネット上の人権侵犯事件の件数は多いことが予想されます。
このような風評被害の増加により、今では個人だけではなく企業も大きな影響を受けています。
風評被害が会社に与える被害
①自社の商品やサービスが売れなくなる
インターネットが発達した今では、ほとんどのユーザーが「口コミ」や「レビュー」を商品購入の際に参考にします。良い口コミが多ければその商品を購入するユーザーは増加しますが、悪い口コミが多ければその商品を購入するユーザーの数は当然減少します。
飲食店を選ぶ際にも口コミを参考にしてお店を選ぶという方も多いでしょう。悪い口コミばかり書かれてしまえば来客するお客さんの数も減少し、売上に大きな影響を与えます。
悪質なブログによる営業妨害の事例としては以下のような事例があります。
Aさんの経営するお店は、インターネットによる集客マーケティングが成功したことで、年商数億円のショップへと成長しました。しかしある日、検索エンジンから店舗名や商品名で自社を検索すると、検索結果の1ページ目に表示されているほぼ全てのページが、自社の商品やサービスに関する中傷的な内容のブログでした。こうした事実無根の悪質な情報発信による影響で、売上げは前年比に比べおよそ70%ダウン。後の調査で、Aさんのライバル会社であるK社による、計画的な業務妨害であることが発覚しました。
引用:http://net-110.com/contents4.html
上記の事例のように悪評をネットに書かれるということは企業にとって死活問題に発展します。口コミやレビューで悪評を書かれている場合は売上に大きな影響を与えるので、早急に対処する必要があります。
②優秀な人材の採用率の低下
多くの求職者は関心のある企業に関する評判を応募前に確認します。そこでの評判があまり良くなければ当然、その企業に応募する人数は減ることになります。
以下の事例は退職者による悪評の拡散により採用率を大幅に減少させた会社の事例です。
大手ベンチャー企業であるG社では、G社を退職した元社員による、会社の業務体系における愚痴や、待遇に関する不満が、日本でもトップクラスの会員数をかかえる人気口コミサイトに投稿されてしまった。その投稿内容が検索結果の上位に表示されてしまったことで、それを閲覧したG社への就職内定者や面接希望者が、G社に対する不信感を抱いたため、内定辞退・面接辞退が急増し、また、資料請求も激減した。G社は急遽、採用予算を大幅に増額したものの、その年の採用率は最悪なものとなってしまった。
引用:http://net-110.com/contents4.html
優秀な人材を採用することができないということは、会社の成長を妨げる大きな要因になります。会社が成長しなければ最終的に営業利益の低下にも繋がることになるので退職者による悪評の拡散も早急に対処する必要があります。
ネット特有の風評被害
先ほど説明した風評被害の事例はどちらもインターネットを通じた風評被害になります。インターネット上で受ける風評被害には様々な事例があるのでご紹介します。
関連キーワードでの風評被害
ネット特有の風評被害として一番大きな影響を持っているのがこの関連キーワードです。Yahooで検索をかけるとページの上下に以下のような検索候補が出てきます。
【ページ上部】
【ページ下部】
このような検索候補のことを関連キーワードと呼びます。一番ユーザーの目が触れる部分になるため、この関連キーワードの部分にネガティブなワードを書かれていた場合は企業に大きなマイナスの影響を及ぼします。
こちらの関連キーワードはネットユーザーが今まで検索をしてきたキーワードが表示されています。
例えば「〇〇企業 ブラック」というワードが関連キーワードに表示されていた場合は、その単語で検索しているユーザーが多いために表示されていることになります。
2ちゃんねるでの風評被害
引用:http://blog.livedoor.jp/easy2ch/archives/256675.html
こちらは2ちゃんねるという掲示板サイトになります。先ほどの関連キーワードは多くのユーザーがネットで検索をしない限りは表示されることはありませんが、2ちゃんねるではたった1人の個人の発言が大きな影響を生み出すこともあります。
例えば、先ほどの大手ベンチャー企業のG社では退職者が人気口コミサイトにネガティブな記事を投稿したことによってその影響が拡散し、採用率を大幅に減少させました。
こういった掲示板サイトは匿名で投稿することができるため個人が簡単に悪評を広げることが可能になってしまいます。
無料ブログでの風評被害
引用:https://takalog.jp/archives/61
こちらは2ちゃんねるのような掲示板と違い、個人で作成したブログによる風評被害になります。先ほど紹介したAさんはこの事例に当てはまります。Aさんは上記のようなブログに複数の誹謗中傷記事を書かれ、検索ページの1ページ目に誹謗中傷サイトが並んでしまったため、会社の売上を大幅に減少させました。
多くのユーザーが企業について検索する際、検索ページの1ページ目の情報を参考にするため、ここに誹謗中傷サイトが並んでいる場合は会社の売上に大きな影響を与えます。
SNSでの風評被害
インターネット上での風評被害同様、ツイッター・インスタグラム・フェイスブックなどによるSNSでの風評被害も近年ではとても目立ってきています。これらSNSによる風評被害の大きな影響は「拡散力」です。個人が投稿したツイッターの内容が炎上し、多くのユーザーに拡散されてしまう事例も以前と比べ増加してきています。
自社企業の評判を調べる際にWebの検索結果のみを参照にするケースがあるかと思いますが、それに加えてこのようなSNS上での評判なども参照にすることをお勧めします。
風評被害対策方法
このように風評被害が拡大していく中で企業が風評被害対策を行なうことは必須になってきます。風評被害対策を行なわなければ企業の売上が大きく下がることはよく分かると思います。
以下にいくつかの風評被害対策の方法についてまとめましたので是非参考にして下さい。
逆SEO
まず、風評被害対策の1つとして挙げられるのが逆SEO対策になります。
検索ページの1ページ目にネガティブ記事が存在していた場合、その記事に関するポジティブな記事を量産することでネガティブな記事の順位を相対的に下げる施策のことを「逆SEO」と言います。
例えば「〇〇企業 ブラック」のような記事の順位を下げるために「〇〇企業」に関する他のポジティブな記事を量産することでネガティブ記事の順位を相対的に下げる施策を指します。
逆SEOによってネガティブ記事の順位を相対的に下げるには以下のような方法があります。
自社サイトの作成
まず1つ目は自社サイトの作成です。
企業の商品に関してネット上にネガティブ記事が沢山ある場合は自社サイトを作成し、自社商品についてポジティブな記事を量産することで最終的にネガティブ記事の順位を押し下げることができる可能性が高くなります。
この自社サイトの作成のメリットはネガティブ記事の順位を下げることができるだけではなく、採用活動のPRなどにも繋がるという点です。
自社サイトが検索結果で上位表示されればそれだけ多くのユーザーがそのサイトに訪れることになります。サイト内に企業の様子や社内インタビューのような記事を作成しておくことで企業に就職を考えている就活生は社風を感じることができます。そういった企業のリアルな雰囲気に惹かれて応募する就活生が増えれば採用のミスマッチも減り、最終的に企業にとって理想的な人材の採用に繋がります。
このように自社のメディアを1つ保有しておくだけで様々な用途で活用することができるので、長期的に考えた際にとても有効な方法の1つだと言えます。
SNSの活用
自社サイトの構築と共にツイッターやインスタグラムで自社専用のアカウントを作成することも逆SEO対策や採用強化に繋がります。
最近では通常のWebサイト以外にもツイッターやインスタグラムのようなSNSも検索エンジンで上位表示されるようになりました。こちらの媒体も自社サイト同様にしっかりと運用していけば検索エンジンで上位表示させることができ、ネガティブ記事の押し下げと採用強化に繋げることができます。特にツイッターのようなSNSの場合は先ほど挙げたように「拡散力」を活用して一気に企業の認知度上げることも可能です。
例えば、シャープ株式会社は以下のような手法を用いて企業のPR活動を行っています。
このように今世間で話題になってるトレンドのハッシュタグを添えてツイートすることで話題性のあるツイートを行なうことができ、企業の認知度向上に繋がります。
ツイッターの媒体が強くなれば企業名で検索をかけた場合、企業の公式ツイッターも検索エンジンで上位表示されるので、こういった媒体を育ててネガティブ記事の押し下げと企業の認知度アップを狙うことができます。
口コミサイトや掲示板の活用
新規でサイトを作成する場合や自社アカウントを作成する場合、サイトやアカウントが育つまでに時間を要する場合があります。そういった場合は口コミサイトや掲示板を活用することで逆SEOで検索順位を押し下げる時間を短縮することができます。
既に存在している口コミサイトや掲示板を活用するのでGoogleからも「前から存在しているサイト」と認識され比較的検索エンジンで上位表示される可能性が高いです。
口コミサイトとして有名なサイトには以下のようなサイトがあります。
ポイント
- 食べログ
- ぐるなび
- HOTPEPPERグルメ
- じゃらんnet
- 楽天トラベル
- アットコスメ
- ゼクシィ
グルメ関連、旅行関連、結婚関連以外にも各分野の口コミサイトや掲示板は存在しているので、自分が風評被害に遭っている分野の口コミサイトを活用してポジティブなコメントを投稿することでネガティブ記事の順位を下げることができる可能性があります。
記事削除
逆SEO対策はポジティブな記事を量産することでネガティブ記事の順位を相対的に押しさげることが目的になります。さらに自社サイトが検索エンジンで上位表示されれば自社をPRすることができる1つの材料にもなるので付随するメリットもとても大きいです。
しかし、デメリットとして「記事自体を削除することができない」という点が挙げられます。あくまでも相対的にネガティブ記事の順位を下げるだけなので記事自体は検索エンジン上に残ってしまいます。記事自体をネット上から削除したい場合は以下の対策を行なうことで削除することができる場合があるので是非参考にして下さい。
相手に連絡して記事を削除してもらう
1つ目の方法はネガティブ記事を書いている相手に連絡して記事自体を削除してもらう方法です。サイトによっては「お問い合わせフォーム」のようなフォームを用意してある場合があります。そういったフォームが存在している場合は相手に対して記事を削除してもらうように依頼しましょう。
フォームから相手に削除依頼を送信するだけなので、手軽に実行できる上にコストがかかりません。記事を削除する場合に一番簡単な方法になりますので、どの対策よりも一番初めに行なうべき対策になります。
弁護士に記事削除を依頼する
相手に記事の削除依頼を申請しても、ほとんど対応がなされず相手から連絡が来ない場合もあります。そういった場合は弁護士を通じて相手に削除申請を出すことで記事が削除される場合もあります。
個人が削除の依頼を依頼するよりも弁護士を通じて依頼をすることで相手に与える影響は変わってきます。記事の削除は裁判で争うこともできますが、書込みの削除を行なうためにはかなりの時間を要します。
なので、そういった対策を取る前に弁護士名で通知書を出すことで相手に記事を削除してもらうように依頼しましょう。
Googleに記事削除を依頼する
3つ目の記事削除の方法として「Googleに記事削除を依頼する」という方法が挙げられます。
以下にGoogleに記事削除を依頼する手順をまとめましたので是非参考にして下さい。
①「Google からコンテンツを削除する」で検索
Googleの検索エンジンで風評被害に遭っている場合は「ウェブ検索」を選択してください。
②「Google 検索結果から個人情報を削除したい」を選択してください。
③「Google の検索結果に名誉棄損にあたるコンテンツを見つけた」 を選択してください。
④「その他の方的な問題を報告」をクリックしてください。
⑤フォームに必要事項を記入し、Googleに削除申請を依頼してください。
数日後、Googleから記事削除の可否についての連絡が来ます。
ただ、ここで注意しなくてはいけない点は「Google が必ずしも削除要請に応じるとは限らない」という点です。検索結果の削除に関しては一定の基準が存在し、ハードルは比較的高めになっているので、記事削除に関しては弁護士などを通して直接相手に連絡することをお勧めします。
その他の対策方法
ここまで逆SEOの方法や記事削除の方法についてお伝えしてきました。どちらの方法も風評被害対策に効果のある方法になります。
これらの施策を個人で実践することも可能ですが、その他にも「専門業者に頼む」という対策方法もあります。
専門家への相談
逆SEOに関してはポジティブな記事を量産し、ネガティブ記事を押し下げるために高度なSEOの知識が必要になってきます。逆SEOのデメリットはネガティブ記事の順位を押し下げるのに時間がかかってしまう点ですが、これをSEOの知識がない素人の方が実践した場合はさらに記事の押し下げに時間がかかってしまいます。
SEOに関する勉強をし、さらに記事更新をしていくとなると、記事の押し下げまで相当時間がかかってしまうことが予想されます。なので、そういた知識がない場合は専門家に作業を一任してしまうことをお勧めします。
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ネットでの風評被害対策を万全に
インターネットの登場やSNSの発達によりネット上での風評被害は年々増加しています。こういった風評被害は企業の売上や採用に関して大きな影響を与えるため、万全な対策を行なうことが今後はより一層重要になってきます。
最後にこの記事で紹介した風評被害対策についてもう一度まとめしたので、現在風評被害に遭っている方はいずれかの方法で是非、風評被害対策を行なってみて下さい。
【逆SEO】
参考
- 自社サイトの作成
- SNSの活用
- 口コミサイトや掲示板の活用
【記事削除】
参考
- 相手に連絡して記事を削除してもらう
- 弁護士に記事削除を依頼する
- Googleに記事削除を依頼する
【その他の対策方法】
参考
- 専門家への相談